安倍宏行(Japan In-depth 編集長)

 2025年まであと10年を切った。この10年は日本にとって極めて重要な10年となる。それは何故か。以下、その理由を述べる。


国際情勢の変化と安全保障


 戦後70年経ち、中国が予想以上に経済的にも軍事的にも台頭してきた。経済的には、日米EU、共にその巨大市場に依存してきた。それはそれで安全保障上好ましいものと捉えられてきた。しかし一方で、中国は軍拡に力を入れ、アジア近隣新興国、太平洋島しょ国、アフリカ諸国などへの経済外交にまい進している。

 北朝鮮は核実験を強行した。これに対し、日本は去年ようやく安保法制を成立させたばかりであり、官も民も政もグローバルな安全保障の視点を欠いたままと言えよう。

 そうした中、ロシアは原油安で経済が苦境に陥り、資源外交に軸足を置き始めた。日本としては追い風だが、日本はエネルギー政策が確立しておらず、未だに国内およそ50基の原発を止めたままなのだ。これまた、エネルギー安全保障の観点からは考えられない政策である。

 そしてISによる国際テロに見られるように、イスラーム社会とキリスト教社会との文化の衝突という厄介な問題が浮上している。同地域におけるパワーバランスの変化がISの台頭を許し、シリアの内戦をより複雑なものにしてしまった。その間隙をついて、イランが影響力を拡大、湾岸産油国の雄、サウジアラビアと対峙するなど、きな臭い動きが目立つ。

 このように、世界の安全保障体制は非常に脆弱なものとなっており、世界経済に大きな影響を及ぼす。原油安だからエネルギーコストが下がって日本経済にメリットだ、などという論調もあるがそれは楽観に過ぎるだろう。そうした危機感をしっかり踏まえていかねばならない10年だということだ。


国内の人口動態の変化


 次は少子高齢化による人口減少と社会保障費の拡大だ。他の方が詳述するだろうが、2013年の厚労省の試算によると、2025年には65歳以上の高齢者は約3,600万人、そのうち、「認知症高齢者の日常生活自立度」Ⅱ以上の認知症高齢者は訳470万人、高齢者における比率で約13%にものぼるのだ。

 このままでは社会保障費の負担は膨れ上がるばかりで、消費税をいくら上げても追いつかない。世界情勢以上に、日本の財政に仕掛けられた時限爆弾が爆発するまでもはや猶予もない。

 それなのに、政府は2017年の消費税再増税に向け、低所得者層に配慮して軽減税率なる悪手を打とうとしている。逆進性緩和に効果が薄く、社会保障費に充てるはずの財源が1兆円超減る。ポピュリスト政治の最たるもので、将来に不安を抱く国民の目をそらし、財政健全化への取り組みを先送りしているにすぎない。

 問題は今の日本で、こうした人口動態に合った産業が生まれていないことだ。新たなサービスはアメリカ発の企業が独占している。高齢化により、医療・介護の分野で需要が爆発的に伸びると分かっているのに新しいサービスは一向に生まれてこない。これは何故なのか? そして日本経済はこのまま衰退していくのだろうか?