ロシアの侵略気付かせぬ占領政策


 そもそも、ソ連を含む連合国は、カイロ会議、ヤルタ会談、ポツダム会議で、日本の戦争を非難し、日本がこの手段によって奪った地域は返還させる、あるいは剥奪すると決議した。これと同じ論理で、一度も他国の領土だったことがない南千島を含む千島列島を得ることを目的としたソ連の対日戦争は侵略であり、それによって得た千島列島は日本に返さなければならないことになる。

 こんな明白な歴史的事実に日本人が気付かないとすれば、あるいは気付きながらも「いまさら言っても仕方ない」と思っているとすれば、それはアメリカの占領軍が日本人に行った心理戦によって、日本は無条件降伏したのだという「無条件降伏史観」から抜け出せないからだろう。

 中国、韓国の政府首脳は、歴史的事実を捻じ曲げる反日プロパガンダを行っているが、彼らが最大限に利用しようとしているのが、この「無条件降伏史観」、つまり「日本は無条件降伏したのだから、いまさらいっても仕方がない」という歴史観だ。「敗戦国の日本には返還を求める権利はない」というラブロフの言葉もまさにこれを突いたものだ。
ヤルタ会談が行われたリバディア宮殿で並んで座る左からチャーチル英首相、ルーズベルト米大統領、スターリン・ソ連首相。「樺太・千島獲得」の極東密約でスターリンはほくそえむような表情だ
ヤルタ会談が行われたリバディア宮殿で並んで座る左からチャーチル英首相、ルーズベルト米大統領、スターリン・ソ連首相。「樺太・千島獲得」の極東密約でスターリンはほくそえむような表情だ
 私たちが歴史の教科書で学んだように、日本はポツダム宣言を受諾し降伏した。だが、戦後教育がしっかり教えてこなかったのは、ポツダム宣言の正式名称は「日本の降伏の条件を定めた公告」で、日本はこれに定めた条件のもとに降伏したのであって、無条件降伏したのではないということだ。さらに、この公告が求めた無条件降伏は、日本軍に対してであって、日本政府でも日本国民でもなかった。したがって、日本軍が武装解除されたあとは、日本政府も国民も、ポツダム宣言の条件のなかで認められた権利を戦勝国に対して主張する権利を持っている。それらの権利とは、政体選択の自由(ポツダム宣言第一二条)、貿易の自由(第一一条)、領土保全(第八条)だ。