帰属を正当協議なら日本返還も

 
 そもそも間宮林蔵の探検以後、江戸幕府が積極的に移民を送り込んだこともあり、住民の居住実態からしても、樺太はロシア固有の領土とはいえない。日露戦争は公平にみて防衛戦争だったし、南樺太も、得たというより「回復」したと考えることもできる。

 たしかに日本は、サンフランシスコ平和条約でこの地域を放棄することに同意したが、ソ連にこの地域を引き渡すとはしていない。

 したがって、この地域は、ロシア以外の国が委任統治したり、関係国との話し合いで、望ましいということになれば、再び日本の施政下に置いたりすることもありえる。

 それにしても。なぜアメリカ議会がこんなにあとになってこのような決議をしたのかといえば、日本人には驚きなのだが、トルーマン政権がこの密約のことを隠していたからだ。アメリカは外交文書を「アメリカ外交文書」という本にまとめて公表しているが、ポツダム会議の巻が出版されたのは一九五二年だ。それまでルーズヴェルトもトルーマンも、自分がどんな外交をしたのか議会と国民に隠してきた。
1945年2月、ヤルタ会談開始前にルーズベルト米大統領㊨の宿舎を訪ねたスターリン・ソ連首相。米議会は2人の「汚い密約」を認めなかった
1945年2月、ヤルタ会談開始前にルーズベルト米大統領(右)の宿舎を訪ねたスターリン・ソ連首相。米議会は2人の「汚い密約」を認めなかった
 それで思い当たるのは、ポツダム会議でヴャチェスラフ・モロトフ外相から、日ソ中立条約を破って対日戦争に入るよう連合軍がソ連に要請する文書をもらいたいといわれたときの国務長官ジェイムズ・バーンズの対応だ。彼は「モスクワ宣言第五項と国連憲章第一〇三条、第一〇六条で正当化できるので、その必要はない」と答えた。笑えるのは、ソ連側がこの回答をもって対日戦争を正当化する根拠としていることだ。

 バーンズおよびトルーマンの真意は、おそらくソ連の参戦はないのだから、日ソ間の協定を知りながら、ソ連に侵略戦争をすることを求める文書などに署名したくないということだ。これを残せば、アメリカ議会の追及を受けるのは必至だし、いずれ公文書として公開されて、孫子の代までアメリカ国民から後ろ指をさされることになる。一般のアメリカ人は、このような政治家や弁護士の「汚い取引」を最も忌み嫌う。

 この二人とちがってモラルも良識もあるアメリカ議会は、やはりこの「汚い取引」をよしとしなかった。それどころか、とくに共和党議員は、ルーズヴェルトの秘密・個人外交を断罪し、返す刀でそれを引き継ぎ、隠したトルーマンも非難した。ここがアメリカの懐の深さで、ソ連、中国、韓国とちがうところだ。どうもアメリカ側でまともでなかったのは、政府首脳だけだったようだ。

 現在のロシアにもまがりなりにも議会があるのだから、自らの権力強化のために、数千万人の自国民を処刑したり、収容所送りにしたりした独裁者スターリンを断罪したのなら、彼の個人・秘密外交も非難し、こんな密約を結んだことを恥じ、日本から奪ったものを返すと決議したらどうか。

戦後処理と関係ない中共・韓国


 ちなみに、中国と韓国の厚顔無恥な歴史捏造が目立つのでとくにいっておきたいのは、中国(共産党)と韓国も日本の戦後処理を決めたサンフランシスコ平和条約の加盟国となっていないということだ。

 中国共産党は、日本と戦いはしたが、日本軍に追われて、延安周辺をさまよっていて国家の体をなしてなかった。また、この平和条約が締結されたときは、朝鮮半島でアメリカと戦っていた。ポツダム宣言の署名国で、サンフランシスコ条約の署名国となったのは、中華民国、つまり我々が台湾と呼んでいる国である。

 韓国にいたっては日本と戦争すらしていない。だから、この国が主張するような戦勝国であるはずがない。現在の韓国人、北朝鮮人および在日朝鮮人は、明治四十三(一九一〇)年の日韓併合から終戦まで日本人だった。だから、ついでにいうが、戦時中彼らは日本人として動員されたのであって、世界産業遺産だろうがどこだろうが、朝鮮人として「強制労働」させられたのではない。

 たしかに李承晩ら上海周辺にいた抗日グループは反日運動を行っていたが、これは「抵抗運動」とはいえても彼らが主張しているような「戦争」とは呼べない。サンフランシスコ平和条約をまとめたジョン・フォスター・ダレスもそう判断して、サンフランシスコ会議に戦勝国として参加したいという李承晩の要求をはねつけた。その前には、アメリカ国務省が竹島は韓国の領土だとする主張を根拠がないとして退けていた。 

 このようなアメリカに対する腹いせとして、海上自衛隊が発足を目前に控えた昭和二十七年一月一八日に国際法を無視して李承晩ラインを引き、竹島をその内側にとりこんだ。韓国は「われわれ」にもサンフランシスコ平和条約署名国にも入っていないのだから、これも侵略であり、不法占拠だ。