猪野亨(弁護士)

 今頃になってのものですが、櫻井よしこ氏ら極右勢力の日本会議がこのような集会を今年の8月に行っていたのですね。

 戦争法案の審議の最中にこのようなことをやっていようとは、大変な軍国主義者たちです。戦争法案を合憲だと言っていた数少ない憲法学者も名前を連ねています。

 それにしてもすごいタイトルです。タイトルばかりではありません。敢えて8月6日の広島で開催するという当てつけです。

 中国に負けじと日本も軍拡、そうなると日本も核武装ですか? そのようなことをしたって中国の軍拡や北の核兵器開発が止められるわけがありません。単なる軍拡競争になるだけです。
 櫻井氏は、米国の価値観は違うから、アジア諸国は中国の台頭に対しては日本に期待していると言うのですが、しかし、あまりにうがった見方です。ASEAN諸国も中国に同調する国々が少なくないではありませんか。

 だから、日本が軍事力を拡大するというのであれば、単に銃剣を振り回すだけの国として、他のアジア諸国に対して日本に従えと言っているだけの姿にしか見えません。中国に対する牽制というなら、アジア諸国と軍事同盟でも結びますか。何だか「八紘一宇」の発想です。

 しかも憲法9条が隣国の軍拡路線を止められなかったというのもひどい言いがかりです。冷戦期には、中国も北朝鮮も大した軍事力はありませんでしたし、中国の本格的な軍拡が始まったのは、つい最近の話です。

 しかも、現実には、日本政府は憲法9条の理念を踏みにじることばかりをしてきました。今年の戦争(安保)法制は最悪ですが、以前から自衛隊の軍備拡張を押し進め、さらには海外派兵にまで踏み出しました。

 これで憲法9条の理念を世界各国に説いていっても説得力はありませんし、日本政府がそのような行動をとったこともありません。それでありながら憲法9条が中国の軍拡を止められなかったなどとよくもいえたものです。

 櫻井よしこ氏らが目指すものは、日本の軍事大国化であり、再び戦争ができる国家にすることです。しかも、復古的な軍事大国化です。かつてのアジア・太平洋戦争を聖戦として位置づけ、過去の歴史をあからさまに否定する歴史歪曲を押し進める人たちです。

 そのようなことをすれば、あるいは戦後の日本がそのようなことをしていたとすれば、経済は破綻していたであろうし、国民は窮乏生活を強いられていたことでしょう。これからだって同じです。軍事大国化路線や、ましてや核武装政策を推し進めれば国家財政が破綻するだけです。私たちにとって良いことは何1つありません。

 憲法9条の理念を実現するために日本が率先して行動することこそ、世界の人々に期待されているところです。