民主党の小沢一郎代表(66)の辞任表明で、鳩山由紀夫幹事長(62)と岡田克也副代表(55)が5月16日、両院議員総会で次期代表の座を争うことになった。「親小沢」の鳩山氏か「反小沢」の岡田氏か。2人はこのような構図で見られるのを嫌っているが、党内の人間関係を重視して民主党や自民党の党首選が報じられるのは今に始まったことではないし、議員たちの意識に沿ったものでもある。ただ、両氏の政見がどんなものかは知っておきたい。次期代表は衆院選後に首相になる可能性があるだけになおさらだ。代表選ではあまり触れられないだろう分野をスケッチしてみた。

「悲願」の外国人選挙権

 両氏はともに自民党(竹下派)出身のせいか、しばしば保守系政治家に数えられる。だが、そうは思えない面もある。
 典型は、定住外国人への地方選挙権付与の推進だ。付与派の急先鋒(せんぽう)である岡田氏は2008年に民主党有志の「在日韓国人をはじめとする永住外国人住民の法的地位向上を推進する議員連盟」を結成して会長に就任。外国人地方選挙権は「党の長年の課題で悲願」との考えだ。
 岡田氏は08年8月、民放ラジオで「グローバル化で最も発展していく地域はアジアだ。その果実を日本がしっかり得られるようにしていかなければ。そのためには国をもっと開かなきゃいけない。人・モノ・カネの自由化だ」と語った。 
 東アジアは経済発展となお残る冷戦構造が矛盾をはらむ地域であるのに、いささか経済に偏しているようだ。
 鳩山氏もこの議連のメンバーだ。今年4月17日、鳩山氏は「ニコニコ動画」に出演し「日本列島は日本人だけの所有物じゃない」などと付与を唱えた。4月24日の会見では「まさに愛のテーマだ」とまで語っている。
 両氏は、国政選挙への世襲立候補の制限に積極的だ。岡田氏は党政治改革本部長として党の改革案をまとめた。鳩山氏は明治時代の衆院議長だった曾祖父、和夫(1856~1911年)以来の4世だが、代々の東京の選挙区ではなく北海道から出ており、世襲ではないと自認している。
 鳩山氏は、自主憲法制定を唱えた鳩山一郎元首相(1883~1959年)の孫で、自身も憲法改正論者だ。2005年には「新憲法試案」(PHP)を出版した。自身の改憲案を世に問うた政治家は珍しい。近年では自民党の山崎拓(やまさき・たく)元副総裁(72)の新憲法試案、愛知和男元防衛庁長官(71)の平成憲法愛知私案、それに中曽根康弘元首相(90)の世界平和研究所憲法改正試案くらいだ。
 鳩山氏は試案で、皇室は政治的安定の基礎として、天皇を元首と明記。さらに自衛軍の保持を打ち出した。一方で「女系天皇」を認め、東アジア共同体の将来的な創立などを想定し日本の主権の国際組織への部分的移譲に言及している。

温暖化対策が影響?

 まじめで頑固であるがゆえに「原理主義者」と呼ばれる岡田氏が外国人地方参政権以上に力を入れているのが、地球温暖化対策だ。党の対策本部長として温室効果ガス排出を1990年比で2020年までに「25%」削減する数値目標のある地球温暖化対策基本法案の作成を主導した。
 ただ、もともと省エネの優等生だった日本企業には一層の削減は厳しい。連合内には「岡田首相が登場して本気で対策を進めれば日本企業が弱体化する」(関係者)との懸念がある。これが、代表選で連合系の議員が鳩山氏支持に回る例が多いことの一因、との指摘もある。
 岡田氏は民主党の核軍縮促進議員連盟の会長として、「北東アジア非核地帯構想」も推進している。日本の非核三原則を韓国、北朝鮮に拡大し、3国で非核兵器地帯条約を締結、米中露の3核保有国に北東アジア3国への核攻撃や威嚇を禁ずる構想だ。岡田氏は日米同盟やミサイル防衛(MD)を肯定するが、これらと非核地帯条約を組み合わせて日本の安全を守れると考えているのだろうか。
(政治部 榊原智)