プロ野球のキャンプも中盤をすぎ、まもなくオープン戦の季節に移ろうとしている。新監督の動き、新人選手の実力診断、松坂を含むMLBからの復帰組の調整具合、等々、見どころは尽きない。その中で、私がとくに興味を感じるひとつは、《キャッチャーをめぐる新しい潮流》だ。

 そもそもまず、12球団を見渡して、「不動の正捕手」と呼ばれる存在がほとんどいない。かつてはどの球団にも絶対的な捕手がいて、スタメンには必ずその選手が名前を連ねていた。V9巨人には背番号27の森昌彦捕手(当時の名)がいた。南海には野村克也捕手。その野村監督が率いて黄金時代を築いたヤクルトには古田捕手がいた。ところが、最近は、よく言えば複数併用制になり、シーズンを通して「ひとりでホームベースを守り抜く」タイプの捕手がほとんど姿を消しつつある。投手の多様化に合わせて、特定の投手専門の捕手起用なども戦略として用いられる影響もあるが、どの捕手も決め手を欠くため、結果的に併用中心になっている感が拭えない。

ブルペンで田口麗斗のボールを受ける阿部慎之助=沖縄県那覇市の奥武山運動公園(撮影・福島範和) 、 2月16日
ブルペンで田口麗斗のボールを受ける阿部慎之助=沖縄県那覇市の奥武山運動公園(撮影・福島範和)、 2月16日 
 巨人・高橋由伸新監督は阿部の捕手復帰を決断した。阿部がかつてのように正捕手として毎試合、投手陣をリードする態勢が確立できれば、安定した戦いが期待できると見る向きは多い。だが、体調も考慮して一度は捕手から一塁にコンバートされた阿部が、期待どおり捕手として活躍できるかどうか、まだ不安もある。

 そんな中、横浜DeNAのラミレス新監督の方針は、日本球界としては画期的で、注目を集めている。

「捕手の負担を減らすため、捕手には配球を任せない。それはすべてベンチから指示を出し、捕手は配球を一切考えなくていい」と決めた。

「配球を含め、投手をリードするのが捕手の最も大切な務めではないか」と思い込んでいた野球ファンにとっては、戸惑いを隠せないほど衝撃的な新方針ではないだろうか?