黒鉄ヒロシ(漫画家)


佐藤英明(撮影)

ヒトラーのブラックユーモア


 正しいと信じて成したことが実は間違っていた──後世から歴史を振り返ってみると、 そういう例はいくらでも出てきます。自分の意見は正義である、非の打ちどころがないと思っても、その考えの発露は個人の来し方と、それまでの学習にあるわけですから、それがもし間違っていたらどうなるのか。それをまず疑ってかからなければいけない。

 早い話が、韓国の朴撞恵(パククネ)大統領の「加害者と被害者の立場は千年たっても変わらない」云々とい う発言。歴史を知っている人なら吹き出すよね。十三世紀の蒙古襲来、いわゆる「元冠」のとき、その気のなかった元を焚きつけて日本侵略の先陣を切り、対馬・壱岐の島民を虐殺したのは高麗です。あまつさえ、日本文物を教えたのは自分たち朝鮮人だと思い込んでいる。

 歴史や事実を客観的に見るということがいかに難しいか、お隣の国々をみるだけでよくわかるでしょう。うっかりすると、村落全体が魔法にかかっている恐れもあるし、村落が国家に拡大すると、国民を魔法にかける為政者も出てくる。

 それに照らしてみると、国家が国民の健康に口出しし始めたときは危ない。そういうときの国家は、国民を税金取り立ての対象、あるいは兵隊の頭数としか見ていません(笑)。ここには国家としての欲望が必ず潜んでいるんです。

 禁煙を国策として国民に最初に押しつけたのは ヒトラーです。彼は母親を肺がんで亡くしている。自分は貧乏でタバコが買えなかった恨みもあって、それをタパコのせいにしました。それで、健康な兵隊と、健康な兵隊を産む女性がほしかったために禁煙を命じた。ドイツの実験的・即物的、ブラックユーモア的な面白さがそこにあるんですが、ただし、当時のドイツ医学の総力を上げてタバコと肺がんの関係を調べたけれど、結論が出なかった。 あのドイツにして立証できなかったんですよ。

 そもそも副流煙がどうこう言われ出したのは、ノルウェーの女性首相ブルントラントがWHO(世界保健機関)の事務局長に就任したとき(一九九八年)の演説で「煙草は人殺しの悪魔だ」と喫煙批判をしたのがきっかけです。ところが、彼女はあのときは“電磁波過敏症”とかいう 病気にかかっていて、だから、あんなに過激な発言をしてしまったと後に謝っているんです。でも、 一度口にしたことをあとから謝っても遅い。ご承知のように、WHOは世界中の医療を牛耳っていますから、医療関係者みんながそれにおもねって、「ハイハイおっしゃるとおりでございます」と認めてしまった。ヒトラー、ブルントラントの思い込みから始まっているんです。

 よく言われる「オーラ」にしても、ロシア人の 学者が植物から何やらボワーッと出ているものを写真に撮って、それがオーラとして広まったんで すが、その学者はあとから単なる水蒸気が写ったものだったと誤りを認めているんです。それでもいまだにみんな「オーラ」が見える、見えないと騒いでいる。一度強い印象を与えてしまったものをもとに戻すのは至難のわざなんです。