門田隆将(作家)

 昨日の朝日新聞、そして今日の産経新聞の記事を見て、目が点になった人は多かったに違いない。仰天、唖然、衝撃……どんな言葉を用いても、そのことを表現することは難しいだろう。

 私は前回のブログで、国連欧州本部で開かれた女子差別撤廃委員会の「対日審査」での日本の主張について書かせてもらった。
 外務省の杉山晋輔・外務審議官が慰安婦の「強制連行」を裏付ける資料がなかったことを説明し、強制連行説は故・吉田清治氏による「捏造」であったこと、さらには、朝日新聞の報道が国際社会に「大きな影響」を与えたことを指摘したのである。
ジュネーブの国連欧州本部で開かれた国連女性差別撤廃委員会の対日審査会合=2月16日
ジュネーブの国連欧州本部で開かれた国連女性差別撤廃委員会の対日審査会合=2月16日
 私は、日本政府が国連の場で、こうした事実関係を「初めて」説明したことと、外務省の姿勢が変わらざるを得なくなってきたことを、感慨をもって見つめている、という趣旨のことを書かせてもらった。

 しかし、昨日の朝日新聞朝刊には、その外務省に対して、朝日が「抗議をおこなった」ことが書かれていたのだ。私は職業柄、主な新聞には、すべて目を通すようにしているが、その朝日の記事には本当に驚いた。

 第4面の「総合面」に〈国連委発言で慰安婦報道言及 本社、外務省に申し入れ〉と題して、朝日が国連での杉山審議官の発言に対して、〈18日、外務省に対し、「根拠を示さない発言」などとして遺憾であると文書で申し入れた〉と報じたのである。

 「えっ? ウソだろ……」と呟きながら、この記事を読んだ人は少なくなかっただろう。朝日の記事の主要部分をそのまま引用する。
 〈申入書(※筆者注=朝日が外務省に申し入れた文書)では、国際的な影響について、朝日新聞の慰安婦報道を検証した第三者委員会でも見解が分かれ、報告書では「韓国の慰安婦問題批判を過激化させた」「吉田氏に関する『誤報』が韓国メディアに大きな影響を及ぼしたとは言えない」などの意見が併記されたと説明。国際社会に大きな影響があったとする杉山氏の発言には根拠が示されなかったと指摘した。

 また、女子挺身隊と慰安婦を混同して報じた点について、朝日新聞社はおわびし、訂正しているが、20万人という数字について、「女子挺身隊と慰安婦の混同がもとになったとは報じておりません」と指摘した。慰安婦の人数については諸説あることを報じていることも伝えた。川村泰久外務報道官は文書を受け取った上で、「お申し入れの内容が詳細なので、精査させて頂きます」とコメントした〉