鈴木貴博(経営コンサルタント、百年コンサルティング代表)

 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン (USJ)が絶好調だ。年間の入場者数は2014年度に1270万人とこの5年で1.5倍に増え、2015年10月には過去最高の175万人と単月で初めて入場者数で東京ディズニーランドを抜いた。

 私は過去に2度、テーマパークビジネスの戦略コンサルティングに携わったことがあるのでわかるのだが、テーマパーク経営にとって最も重要なことは来場者が年々増えていく構造を作ることだ。

 失敗するテーマパークは開業初年度に近隣客がどっと訪れるのだが、初年度の来場人数が最高記録で、その後、年々来場者が減ることになる。一度来た客がリピートしない。遠方の顧客を引き付ける魅力がないというふたつの失敗が重なると来場客は減少し、テーマパーク経営はじり貧になる。安定的にリピート客が確保できて、かつ遠方から新規の顧客を呼べることがテーマパーク経営には重要なのだ。

 実はUSJの場合、開業当初はぱっとしなかった。2001年の開業初年度に珍しさもあって1102万人の集客をしたが、翌年には764万人と来場者はがくんと落ちた。運営会社のユー・エス・ジェイも当時の経営課題は金融機関からの巨額な借入金をどう圧縮するかとか、新規採用を抑えるなどどう費用削減を図るかとか、後ろ向きの課題が多かった。
年間最多入場者数を更新したことを祝うハローキティなどのキャラクターや入場者ら
=2015年2月20日、大阪市此花区のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(南雲都撮影)
年間最多入場者数を更新したことを祝うハローキティなどのキャラクターや入場者ら =2015年2月20日、大阪市此花区のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(南雲都撮影)

 そのUSJが伸びたのは上場を廃止してゴールドマンサックスの傘下に入った2010年以降だ。経営基盤が安定したことでこの年以降、パークのアトラクションへの追加投資が加速する。

 USJにはもともとジョーズ、ウォーターワールド、ターミネーター、バックドラフト、バック・トゥ・ザ・フューチャーなど人気のあるアトラクションが豊富にあるのだが、そこからアトラクションの入替えが加速する。

 それまでピーターパンのネバーランドがあった場所にジュラシック・パークが完成し、魔天楼のそびえるニューヨークエリアにはアメージング・スパイダーマンが登場する。2012年にはユニバーサル・ワンダーランドとして、スヌーピー、セサミストリート、ハローキティらUSJの人気キャラクターの住む街を集約させる。極めつけは2014年のハリー・ポッターで、USJの中にできた別のテーマパークと呼ばれるほどの完成度の街を作り上げた。

 結果として地元関西の消費者はリピーターとしてUSJに還流するようになり、日本全国、そしてインバウンドで日本を訪れる来日観光客が新規客としてコンスタントに流入するようになる。来園者の流れが変わったことで2009年度に800万人だった来園者数は、2014年度に1270万人と膨れ上がったのである。