新井庸志(マーケティングコンサルタント) 

 好調のエンタテインメント業界の中でも特に好調なUSJ。USJはなぜ躍進を続けられるのだろうか。そして、好調はなぜ加速しているのだろうか。

 エンタテインメント業界の市場規模は拡大し続けている。特に、ここ2012年から2014年の3年間の伸びは顕著で約1000億円も拡大し、2014年の市場規模はは約6000億円に達した(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」調べ)。特筆すべきは、その内容だ。入場料の値上げをしても好調が続いているのだ。業界第一位の東京ディズニーリゾート(以下「TDR」。運営:オリエンタルランド)は3年連続で入場料を値上げしている。業界第二位のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下「USJ」運営:ユー・エス・ジェイ)に至っては7年連続で入場料を値上げしての結果だ。世の中的には節約ムードが続く中、エンタテインメント業界は好調そのものと言えるのだ。

「巻き込む力」が集客力を高める


 USJの成長を語る上で欠かせない要素がある。それは「巻き込む力」を最大限活用してきたことだ。その最たる例は「コンテンツ」と言える。USJは多くのコンテンツホルダーを巻き込むことで、集客力を高め、成長スピードを上げてきた。

 USJのコンセプトは「世界最高を、お届けしたい」である。2001年開園当初のUSJはハリウッド映画の世界にこだわった。出だしこそ好調だったが、時間とともに、その魅力は薄くなってしまった。魅力が薄くなるとともに、別の問題も重なり、USJの業績は次第に悪化。その結果、経営だけでなく、コンテンツのあり方まで見直されることとなったのだ。

 現在のUSJは、魅力があれば、ハリウッド映画の世界にこだわり過ぎず、他のコンテンツともコラボレーションするようにシフトした。人気ゲームの「バイオハザード」「モンスターハンター」、人気アニメの「ワンピース」「進撃の巨人」、人気キャラクターの「ハローキティ」、そしてUSJ人気を不動のものとした映画「ハリー・ポッター」。次から次へと人気コンテンツとのコラボレーションを打ち出してきた。

USJのイベント「ユニバーサル・クールジャパン」で、「進撃の巨人」のエリアに再現された巨人が格闘する場面
USJのイベント「ユニバーサル・クールジャパン」で、
「進撃の巨人」のエリアに再現された巨人が格闘する場面
 2016年1月、私は「ドラゴンクエスト」誕生30周年記念発表会に参加する機会があったのだが、そこではゲーム発売計画などとともに、USJにおけるアトラクション計画も発表された。会場には多くのテレビ、新聞、雑誌などのメディアが取材に訪れており、ドラゴンクエストとともにUSJにもスポットが当たった形だ。

 多くのコンテンツを巻き込み、コラボレーションをすることで受けられるメリットは大きい。USJだけでなく、コンテンツ側からも、情報が自主的に発信されることで、盛り上がりはさらに加速していく。多くのコンテンツとコラボレーションしていけばいくほど、USJの魅力も高まっていく仕組みになっているのだ。

 「ホテル」との関係性においても、「巻き込む力」の活用が感じられる。USJ周辺にも、大阪中心部にも、パートナーに認定されているホテルは多くあるが、USJ自社ではホテルを経営していない。例えば、エンタテインメント業界トップの東京ディズニーリゾート(以下、TDR)。TDRの周辺にも提携ホテルはある。ただ、TDRの場合、自社運営のホテルがもっともパークに近く、人気である。東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ、ディズニーアンバサダーホテル、ディズニーランドホテルなど、ホテル事業の売上は約610億円(2015年3月期)。全売上高約4662億円(2015年3月期)に占める割合を見ても重要なことがわかる。TDRにとって、ホテルとは収益を生み出すための重要な柱である。その一方、USJにとって、ホテルとは、より多くのお客さんがUSJに来やすくなるための仕掛けの一つという位置づけなのだ。