よく「定年後に何をすればいいかわからない」という人がいますが、やることはいくらだってあるだろうと言いたい。年金が支払われて生活に困らないなら、ボランティア活動をすればいいじゃないですか。人が生きがいを感じられなくなる1番の理由は、世の中に期待されていない、人から頼りにされていないと感じるようになることなんです。ボランティアはまさに人から期待されていることを実感できるわけですから、自分が年を取らないためにもとても有効だと思います。

 もう1つ、世の中の出来事に関心を持たなくなることも、早く年を取る要因じゃないでしょうか。定年までは仕事関係の付き合いがあるけれど、それがなくなると、たちまちどうやって人と付き合えばいいかわからなくなる。「それなら本を読んだり1人で楽しめる趣味を見つければいいじゃないか」という人もいますが、それではダメ。重要なのは、人と会って話すこと。それによって、自分に刺激を与えることだと思います。

 私の唯一といっていい趣味は、人に会うこと。とにかく人と話すのが好きで、それが元気に仕事を続けられる原動力になっていると思っています。

 人と話すときは、相手が誰であれ必ず本音で話します。建前の話はしない。政治家だろうと友人だろうと、初めて会う僕の著書やブログの読者だろうとそれは変わりません。中国で、ジャーナリストを集めてディスカッションをするときも、本音と本音をとことんぶつけ合う。途中でけんかになることもあるけれど、最後は理解し合って仲良くなれます。私が「中国は、経済は自由化されて競争しているのに、政治はいまだに共産党の1党独裁。そこに君たちは矛盾を感じないのか」といったことを平気で口にしても、「それでいいとは誰も思っていない」と言って、自分の考えを正直に話してくれますよ。

 極端に言うと、私は嫌いな人がいないんです。批判はしても、嫌いなわけではない。「朝まで生テレビ」で、出演者と激論したり、相手を批判することがあるけれど、実は「ああ、こういう見方、考え方もあるのか」と面白がっているんです。要するに、おもしろがり人間なんですよ、私は。

 以前ある女性誌で嫌いな文化人の3位になった時は、記念に取っておく分と人にあげる分を3、4冊まとめて買いました(笑)。おもしろいじゃないですか、そういうのって。

 そうやって、何でもおもしろがるし好奇心も極めて旺盛なので、やりたいことは次から次へと出てきます。今は、雑誌やWEBの連載が月に10数本。ブログもあるし、30万人以上の人にフォローしてもらっているツイッターも続けている。テレビやラジオのレギュラーも月数本ありますが、これで満足ということがない。80歳になっても、90歳になっても、常に何か新しいことをやろうと考えていると思います。それが私の、「80歳を、90歳をどう生きるか」ということ。私の「かけがえのないとき」は、まだ当分続きそうです。