2月15日の衆議院予算委員会で「プロ野球16球団構想」についての質疑応答があった。
 まずは日刊スポーツの報道を引用して紹介しよう。

 自民党の後藤田正晴衆院議員は15日の衆院予算委員会で、プロ野球を現在の12球団から「16球団」に増やす構想に触れた上で、政府がどう対応するか、覚悟をただした。安倍晋三首相、石破茂地方創生担当相、石原伸晃経済再生担当相、高市早苗総務相の名前を挙げ、「4人が(推進すると)言えば、NPB(日本プロ野球機構)も分かった、というと思いますよ」と、迫った。

 後藤田氏は、地元の徳島県や南九州、沖縄県にプロ球団がないとした上で、「今までのプロ野球は、企業の宣伝みたい(な役割)だった。そうではなく、地方再生と同じパターンで、(地方に球団が)できたら盛り上がると思う」と、提案。サッカーのJリーグでは、チーム数がプロ野球より多いことも指摘した。

 これに対して石破氏は、「球団が増えれば若い人たちに競争の機会を与えられる。楽天みたいに地域活性化にもつながる」とした上で、「官がものを言うことはなく、民が主導することになるが、ご指摘を踏まえて、政府としても検討する」と応じ、前向きに検討する考えを示した。

衆院予算委員会で自民党の後藤田正純氏の質問に答える
石破茂地方創生担当相=2月15日、国会(斎藤良雄撮影)
 これに対する世間やメディアの反応は案外、冷ややかだった。
 「えっ、プロ野球が16球団に増えるの!」といった無邪気な歓声はほとんど聞こえて来なかった。それが私には不思議に思えた。

 「16球団構想」は2年前、自民党の日本経済再生本部(本部長・高市早苗政調会長)による「日本再生ビジョン」の安倍晋三首相への提言の中に盛り込まれたことに端を発している。アベノミクスに沿って、「プロ野球市場の拡大を通じての地域活性化」を狙う提言だった。ところが、この時もプロ野球関係者やメディアの反応は辛辣だった。

 「現在の12球団のうち、黒字経営がいくつあるのか知っているのか」「4球団増やしたら何人の選手が必要か分かっているのかね」といった声が球界関係者から挙がっている」と報じたメディアもあった。

 政治側からの一方的な提言は「筋違いだ」という理屈はあるが、上記の批判はまったく本末転倒の感が拭えない。2年経ったいまも、同じような反応で、世間の空気が動き出すことはどうやらなかった。肝心なプロ野球側、その周辺にいるメディアまでが、16球団構想を冷笑し、阻止する方向に舵を切っている。大手新聞の中には、このニュース自体を黙殺して報じなかった会社もあるという。

 私は、別の機会に「プロ野球存在の意義と使命」を明快に共有する必要を前提にした上で、「プロ野球16球団構想」を歓迎する立場で今回の原稿を進める。

 野茂英雄投手がMLBに挑戦した当時、MLB全体の売上げは年間約1200億円程度で、日本のNPBの売上げ約1200億円とほとんど同じビジネス規模だったと言われる。ところが、大リーグ選手会が長期ストライキを決行し、野球に対する冷ややかな空気が全米に広がったことに危機感を覚えたMLBは、結束して新たなビジネス構築に動き出した。その結果、この約20年でMLBは売上げを約6倍に伸ばし、いまも健全な成長産業として発展を続けている。一方、日本のNPBは相変わらず約1200億円の規模にとどまり続けている。