「フランスだけでなく、ヨーロッパを狙ったテロが数日から数週間以内に再び起こる可能性がある」。パリ同時多発テロ「13日の金曜日」から3日後、フランスのバルス首相はラジオ番組でこう警告を発した。

 しかし、危険なのはヨーロッパだけではない。テロリストの照準は日本にも定められている。イスラム国の電子広報誌は今年2月以降、日本をテロのターゲットにするとたびたび宣言してきた。実際、人質にされ、斬首動画を公開されたアジア人は日本人だけ。

 「背景には、1月の安倍首相による、イスラム国と対立する中東諸国への約2億ドルの人道支援の表明があります。それにより、イスラム国は日本を敵認定しているのです」(外交ジャーナリスト)

 警察関係者が言う。

 「来年開催の伊勢志摩サミットや2020年夏の東京五輪など国際的なイベントに向けてテロ対策を進めているが、そんな悠長なことは言っていられない。日本の治安当局も今回のテロを受け、“臨戦態勢”に入っています」

 日本国内でもすでにフランス大使館など外交施設、フランス系企業が入ったビル、フランス人学校などで機動隊による警備が強化されているが、警戒の対象はここだけではない。

 「ロシア関連施設も要注意。というのも、10月末に起きたロシアの航空機の墜落も、ロシアを敵視するイスラム国によるテロだったからです。プーチン大統領の年内訪日の予定が見直しになったのも、パリ同時多発テロの影響でしょう」(前出・警察関係者)

 日本政府の関連施設でいうと外務省や防衛省、経産省など、霞が関がまず警戒を強化している。そして、そのすぐ近く、虎ノ門も要警戒エリアだ。虎ノ門には、イスラム国が目の敵にするアメリカの大使館がある。

 「アメリカ大使館には『中近東分析室』というアメリカ政府の情報機関『CIA情報総局』の下部組織があり、実はそこでイスラム国などに関する情報の分析を行っているのです。情報を持っているCIA関係者が頻繁に出入りしているので、テロの警戒を強めています」(米軍関係者)

 軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が指摘する。

 「東京の対テロ警備能力はパリやニューヨークに比べて格段に低い。もともと銃器犯罪が少ないので、備えができていないんです。もし通勤ラッシュの新宿駅でテロリスト数人がカラシニコフ(自動小銃)を乱射したら、数百人が犠牲になるでしょう。

 銃犯罪に慣れている海外ならすぐに特殊部隊が駆けつけて制圧しますが、日本のピストルを持った警官では相手にならない。機動隊投入にも数十分はかかる。国会や首相官邸にしても重装備のテロリストが10人ほどいたら簡単に突破できます。これも諸外国では考えられないことです」

 日本国内で暮らす私たちの身近に、ひたひたと迫っているテロリストの影。パリでの出来事は決して、対岸の火事ではない。

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