碓井真史(新潟青陵大学大学院教授)

[3.11原発事故で自主避難している親子、していない親子へ。福島県の全ての親へ。あなたの行動は正しい。]

 3.11東日本大震災、福島第一原発事故から5年。様々な親子が、様々な道を通ってきました。どの選択をした親も、その時々で、最善のことをしてきました。

3.11東日本大震災・原発事故・「自主避難」


 3.11東日本大震災による福島第一原発事故。国の避難指示が出ていない地域から、放射能の影響を心配して、自らの判断で自主避難した人たち。特に子どもを連れた母親が目立ちます。

 同じく原発のある新潟県での調査によれば、やはり半分以上の親が自主避難したいと答えています。

 私は、福島県内で出産子育てしても何の問題もないと考えています。現実に多くの人々が暮らしています。しかし、不安を感じる人々がいることも理解できます。私が震災後に福島県を訪問した時も、お母さん方はまるで天気予報の話題を話すように、放射線レベルの話をしていました。

自主避難した人、しなかった人


 自主避難した人、しなかった人、自主避難先から福島県に戻った人、戻らなかった人。それぞれの悩みがあります。

 たとえば、いわき市は福島県内からの避難者が大勢います。そのいわき市から、県外へ自主避難している人たちがいます。友人や家族は福島県内いわき市内で暮らしているのに、自分たちが自主避難することに罪悪感を感じる人もいます。周囲に挨拶もできず、転居した人もます。
「ガンばっぺ!いわき復興祭」2011.10筆者撮影。大勢の親子が楽しんでいました
「ガンばっぺ!いわき復興祭」2011.10筆者撮影。大勢の親子が楽しんでいました
 一方、福島県内に残った人たちの中には、本当は自主避難したいのに、様々な事情から避難できない人もいます。不安を持ったり、罪責感を持つ人もいます。

 福島県内で子育てする人を非難するかのような発言をする人もいます。放射線に関する考えは様々ですが、残念ながら福島県への愛を感じない発言も散見されます。

 福島県民のみなさんの考えや思いも様々です。

 私がお会いしたある福島県職員の方は、おっしゃっていました。自分はこの先何があっても一番最後まで避難しないけれども、自主避難を決断した人の気持ちも尊重したいし、応援したいと。

 自主避難した人も、自主避難しなかった人も、どちらも支援したいと思います。日本全体で福島県や福島県民を支援できないとしたら、そんな国に原発を持つ資格はありません。

自主避難先から福島県に戻った人、戻らなかった人


 自主避難先では、避難者同士のコミュニティーができたりします。互いに悩みを共感し、助け合います。その中から、福島県に戻ることは、心の苦しみを伴います。自主避難した時の様子にによっては、戻る先での人間関係に不安を持つ人もいます。

 自主避難、強制避難してきた子どもたちは、当初希望とやる気にあふれていました。自分たちが、福島に戻り福島を復興させると力強く語っていました。しかし、現実は厳しいものがあります。自主避難先に定住を考える人もいます。高校入試が、一つの分岐点です。徐々に元気な発言が減ってきた子どもたちが悪いわけではありません。希望を持たせられない大人たちの責任です。

 福島県に戻る人も、避難先に定住する人も、どちらも支援したいと思います。どちらを選んだ親子も、新しいい希望が持てるように、日本中で支援します。