塩田潮(ノンフィクション作家)

 維新の党と民主党の合流による新しい党の名前が3月14日、「民進党」に決まった。党名の候補をインターネットやファクスなどで公募し、上位2候補を対象に行った独自の世論調査の結果に従って決定するという異例の方式が採用された。

 公募と世論調査の活用で2党合流を国民に広くアピールし、今夏の参院選での得票拡大につなげたいという思惑と計算が働いたためだが、国民の関心の高まりや盛り上がりはなく、効果は期待できそうにないのが現状だ。

 合流は、もちろん「1強多弱」といわれる政党状況を打破して、自民党・公明党の与党勢力に対抗し得る政治勢力をつくり上げ、政権交代可能な政党政治を再現するのが狙いである。だが、合流による新勢力は衆議院が92議席、参議院は64議席にすぎない。与党と比べて、衆議院は3分の1以下、参議院は半分以下で、掛け声の「野党結集」や「政界再編」の呼び水となると受け止める国民は少なく、期待感も乏しい。

 自民党の政権奪還後、「1強」下で、実際上、政党政治の機能停止状態が続いているが、「多弱」打破のための合流とはいえ、新しい党の党名を決めるに当たって、政党として政治と社会の将来像や目標、行動・選択・決定の指針といった点を示さないまま、漠然と公募や世論調査に託するというやり方は、本来、政党と参集する政治家が取るべき道ではない。

 断るまでもなく、政党も政治家も、国民の支持と理解がなければ存在し得ないが、どんな政治と社会を目指す党か、そのために何をどういうふうにやる党なのか、政党と政治家の側が理念や思想、哲学、行動原理、方向性などを示さなければ、国民は判断も選択もできない。何を目指す党か、何をやる党かを一言で表現するのが党名だから、政党と政治家の側が責任を持って国民に提示する義務がある。

 だが、新党名の「民進党」というネーミングからは、どんな政治や社会を志向するのか、そのために何をどうやって実現するのか、というメッセージが伝わってこないと感じる人が多いのではないか。