倉山満(憲政史家)


はじめに~安倍内閣はどの条文の改正からすべきか

 戦後レジームとは何か。日本を敗戦国のままにさせておく体制の事である。その総本山が日本国憲法であるのは言うまでもない。

 安倍晋三首相は戦後レジームの脱却を掲げ、憲法改正に意欲を燃やしている。戦後政治の常識では改憲勢力が衆参両院で三分の二以上の多数を得るのは不可能に近いと思われてきたのにだ。しかし、ここに救世主が現れた。

 岡田克也氏である。現民主党代表で、維新の会との合併で予定されている新党でも党首に擬されている人物だが、後世の歴史家は間違いなく首相官邸が機密費を使って傀儡に仕立てたスパイであると疑うだろう。真相は同時代を生きている我々には知りえない。また、岡田氏本人も知りえない。なぜなら無能なスパイは、自分が誰のスパイなのか理解できないからだ。そもそも、岡田氏が自発的にスパイと同じ動きをしているのか、それとも誰かに操られているのか、小生のような浅学菲才の身には計り知れない。ただし、これだけは言える。

年頭の記者会見をする民主党の岡田克也代表=2016年1月5日午後、東京・永田町の民主党本部
年頭の記者会見をする民主党の岡田克也代表
=2016年1月5日午後、東京・永田町の民主党本部
 岡田克也氏ある限り、安倍自民党内閣は安泰である。

 詳細は省略するが、安倍内閣は多くの政治的失敗を繰り返してきた。それも、三角大福の時代なら政権即死に至るような致命的な失敗を。最近でも甘利経済産業大臣辞任は記憶に新しい。だが、その機会を悉く岡田氏はわざと見過ごしたか生かせなかったのか知らないが、いずれにしても安倍自民党内閣は支持率を向上させ、「一強」状態である。それでいて護憲派野党結集のための新党で、引き続き不人気の岡田氏が参議院選挙まで党首を務めるという。

 もはや、安倍首相に「憲法改正をしてください」と言わんばかりではないか。よほどの変わり者でない限り、いくら現状の政策に不満があっても、岡田氏との二択ならば迷うことなく安倍自民党を選ぶであろう。

 夏の参議院選挙では、連立与党の自民党と公明党に加え、おおさか維新の会と日本のこころを足せば、三分の二の議席を超えるのではないかとの観測まで出ている。

 岡田克也氏のおかげで、敗戦後初めて憲法改正が現実味を帯びているのである。

 本稿では、参議院選挙後の政局で予想される憲法論議に関し、戦後レジーム打破勢力としてどの条文の改正から入るべきかを検討することによって、安倍内閣の憲法論を評すこととする。