空前の「消費不況」の実態


 私が、消費税再増税に反対する第一の理由は、2年前の消費増税がすでにサラリーマン・消費者のふところを直撃し、賃金が目減りしてしまったことだ。

 まず、今、日本を覆っている「消費不況」がどのようなものであるかを述べよう。今、特に自動車、住宅、家電などの耐久消費財が国内で売れなくなってしまった。

 105円出して買えていたものが増税で108円出さなければならなくなった。その一方で、われわれの給料はどうなったのだろうか。いい例を挙げよう。昨年2015年の春闘で、日産自動車は大手製造業最高の賃上げを記録した。そのベースアップ(基本給の賃上げ分)を含む1人当たり平均賃金改定額は1万1千円、年収増加率は3・6%。しかしベースアップ分だけなら、月5千円であり、2%を切る。他にも物価上昇が起きている中で、これでは消費増税分すらまかなえない。大手最高の賃上げでもこういう状況だ。日本中のサラリーマンの給料が実質的に目減りをしてしまったのだ。これが「消費不況」の原因だ。

 データで見てみよう。増税から一年半以上たった昨年10~12月期の実質GDPは前期比0.4%減。個人消費が同0.8%減で年額換算額304兆円。これは消費税引き上げ直後の14年4~6月期の305兆円をも下回ってしまった。

 もっと細かく「消費者が使うお金(個人消費支出)」をみる。総務省「家計調査」をみてみよう。(表参照)この統計は、全国約9000世帯を対象に、家計簿と同じように購入した品目、値段を詳細に記入させ、毎月集めて集計したものだ。増税から一年半以上たっても消費税引き上げ直後の“反動減”の時期に当たる4月95.5、5月92.5とほとんど変わらない。特に2015年11月は91.8と増税後最悪を更新した。グラフを見ていただければ、L字型となっていて、数値が底ばい状態であることが判るだろう。これは反動減などではなく、構造的な減少だとしか考えられない。

 今、国会では来年度予算が審議されている。霞が関によるマスコミや政治家への根回しもさかんだ。最近のはやりの言い回しは「消費増税からもうすでに二年たっているので、反動減の影響は終わった」とするものだ。また、最近の個人の消費の弱さは、経済財政担当相によれば「記録的な暖冬が原因で、景気の先行きは緩やかに回復する。」としている。「暖冬だから冬物衣料などの季節商品がうれない」というのだ。

 騙されてはいけない。彼らは国内の消費に大きな変化が起きているのを覆い隠そうとしているのだ。前に書いたとおり、私も旧経済企画庁出身でエコノミストの末席に連なっていたのだが、昔から天候不順を景気が悪い理由にするときはほとんどがこじつけだった。今回も決して例外ではない。それとも政府は消費税増税後一年半もずっと気候不順だったとでもいうのだろうか。

 こうした弱い消費の動きは、来年4月の消費税再増税を織り込んでいるのかもしれない。重ねての消費税引き上げは、わが国消費者を奈落の底に叩き落とすことになりかねない。ここでは論じないが軽減税率は低所得者対策になるどころか、高所得者優遇であることはすでに明らかになってきている。われわれが地元活動の途中で吉野家によって、牛丼並盛380円を注文してもそれは消費税10%、その一方で100グラム数千円する高級牛肉は軽減税率の対象となって税率が低いというのは本末転倒、極めて不公平ではないか。

 だからこそ私はいち早く『軽減税率の導入を前提にした消費税再増税には絶対に反対』であると、与党が反発する中でも唱えているのだ。