杉村太蔵(元衆院議員、タレント)

 自民党の候補者公募の審査や面接って、正直言って皆さんが想像しているような変わったことは何もないんですよ。私は2005年8月の郵政解散選挙で自民党のホームページを見て候補者を公募しているのを知り、応募しました。そう、小泉純一郎元首相が郵政民営化反対派への「刺客」として、たくさんの「小泉チルドレン」が誕生した、あの国政選挙です。公募の一次審査の際には、戸籍謄本や住民票、中退した筑波大学の在学証明といった最低限必要な書類はもちろん、私が高校時代に国体の少年男子ダブルスで優勝したときの表彰状まで、まとめて揃えて提出しました。

 一次審査では課題論文もあったんですが、いざ面接になると、総選挙の争点が郵政民営化の是非だったこともあり、面接担当の自民党議員の方からは真っ先に郵政民営化と小泉構造改革についてどう考えているのかと聞かれたのを覚えています。あのときは自分なりに考えをまとめて意見を述べたんですが、私自身もともと郵政民営化には強い関心があり、小泉さんが「完全民営化」を謳っていても、ユニバーサルサービスの維持を法律で義務付けていることに問題があるのではとも思っていました。だから、面接では「東京・赤坂にある郵便局と、地方の過疎地にある郵便局が本当に一律のサービスでいいのか。これは非常に疑問だし、どうせ民営化するのなら極力縛りをかけない方がいいと思っています」みたいなことをお伝えしました。
国会に初登院し、名札のスイッチを押す杉村太蔵氏=2005年9月21日(宮川浩和撮影)
国会に初登院し、名札のスイッチを押す杉村太蔵氏=2005年9月21日(宮川浩和撮影)
 郵政民営化に関しては、私も当時は証券会社に勤めていたので、かつて同僚や上司らと議論した経験を元にとうとうとしゃべりました。いま思えば、自分が金融業界で働いていたことも評価されたのかなと思っています。その他にも、面接官からは「議員になったら郵政民営化以外で何をしたいか?」という質問もありました。大学を中退し、新卒採用の壁に阻まれ、しばらくは派遣社員も経験したことがあったので、「いったんフリーターになると、正規雇用に這い上がるのが難しい。ここには構造的な問題があるんじゃないかと考えています。だから、私は国会議員になって若者たちの雇用環境を改善したい。当選した暁には、ぜひ厚生労働委員会に所属したいです」と結構、具体的に説明したんですよ。あのとき、もし自分が「教育改革をやりたいです!」みたいなことを話していたら、きっと候補者選びで不合格になっていたと思います(笑)。

 公募に合格するまでには5回も面接審査があって、結構大変だったんですよ。面接では、安倍さんや武部さんといった当時の自民党執行部のそうそうたる顔ぶれもありましたね。私が受けた面接審査の中で、もう一つ印象に残っているのが「憲法」に関する質問でした。私は自由民主党の公認候補者として出馬を目指していたわけですから、結党以来の党是である憲法について聞かれるのは当たり前だし、公認候補が党是に従うのは当然です。もし郵政民営化には賛成の立場でも、憲法改正について否定的な完全護憲派では、自民党の国会議員は務まりません。面接の質疑応答では、憲法に関する意見もたくさん求められた記憶があります。