石川和男(社会保障経済研究所代表)

 生活保護費をパチンコに使うことは良いのかどうか? 答えは、「良くはないが、悪くもない」であろう…。

 今月17日、大分県別府市は、生活保護受給者がパチンコなどギャンブルをしたとされる生活保護受給者に対して保護費の一部停止や減額の措置を取っていたが、今後それらの措置を取りやめることにした。

 生活保護費をギャンブルに使うことを禁止する規定は生活保護法にはない。だから、国(厚生労働省)も大分県も、別府市の措置を不適切と判断した。大分県の指摘を受けたため、別府市は停止・減額を止める。今後ともパチンコ店などの巡回調査は続けるそうだ。
 別府市は25年以上前から、市内のパチンコ店や競輪場を巡回し、生活保護受給者の立入り状況を年1回調査してきた。昨年は遊技場に2回以上出入りした9人について、医療費などを除く保護費の支給を1~2か月間停止した。

 これを知った大分県は先月、遊技場に数回立ち入った事実で停止するのは適切でないとの理由で、市に改善を求めた。市は、来年度から停止措置を止めるとともに、受給開始時に交わす誓約書の「遊技場に立ち入った場合は保護を廃止されても異存はない」との文言も見直す。

 生活保護費は、生活保護法の理念に照らせば、『最低限度の生活』を送る範囲内で使われるべきもの。生活保護費をギャンブルに使うことは『最低限度の生活』には当たらない不適切なものだという認識が、別府市だけでなく、他の自治体にもあることは事実だ。

 しかし、理念はそうであっても、法令上では生活保護費をギャンブルに使うことを禁ずる規定はない。