中田宏(元横浜市長)


 パチンコの話題がいくつか出ています。

 警察庁がパチンコ業界に不正な台の回収を要請したというニュースが流れています。全国161のパチンコ店、合計258台をサンプル調査をしてみたところ全てのパチンコ台に何らかの改変・変更がみられ、台の出荷時には検定が必要ですが検定通過時と同じものは一つもなかったという実態がわかり警察庁は不正を助長している疑いが高いということで回収を要請しています。全部を玉が入りやすく細工したらパチンコ屋が儲からないのでいくつか細工して射幸心をあおりそれ以外は入りにくいという状態を続けてるのでしょうか。警察関係はパチンコ業界にかなり天下りしていますが今回は腰を上げてしっかりして欲しいと思います。

 さらに大分県別府市で生活保護受給者がパチンコで遊んでいないかを市役所の巡回調査員が見まわり見つけた場合は注意する、複数回になった場合は生活保護費を減額するという取り組みがニュースになっています。今年10月は合計5日間に市役所職員35人がパチンコ13店と市営競輪場を巡回して合計25人を見つけ1人ずつ市役所に呼び出して注意をしたということです。別府市はすでに25年取り組んでいてこれは大いに賛同します。

 また少し前ですが兵庫県小野市でもパチンコが話題になりました。生活保護受給者がパチンコ等で遊んでいる情報提供を市民にお願いすることを小野市福祉給付制度適正化条例で市民の責務として規定をしたということが話題になりました。

 パチンコと生活保護について考えてみます。

 生活保護は生活保護法第一条に「憲法第二十五条に基づく」とあります。

「この法律は、日本国憲法第二十五条 に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。」

 そして憲法第二十五条一には「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあります。

 私はなかなか厳しいこの経済状態の中で本当に働きたくても働けない方々を国が保護することは賛成です。一方で、生活保護法第一条に基づいて自立を促すことを考えればパチンコが逆に生活困窮者をもっと生活困窮に陥れていく可能性はかなり高いのではないでしょうか。

 さらに国民で共有すべきポイントは憲法第二十五条の精神「健康で文化的な最低限度の生活」に生活保護費でのパチンコ遊びが入るのかということです。パチンコに限らず「生活保護費での遊び」は文化的最低限度の中に入らないと思えばそのコンセンサスを国民が作るべきではないでしょうか。私は遊びは自分のお金でやらなければダメだと思っています。

 憲法二十五条と生活保護法に照らし命はしっかりと守る。それもただ単に生かしておくということではなく最低限度の文化的な生活を保障すべきで、その水準の議論はあっていいけれどもパチンコは入らないと考えます。

 かつての経験的な例えですが、大学進学で地方から上京し生活面で親から仕送りを受けることはあっても遊び代は自分でバイトして稼ぐというのが学生時代の友達に多くいました。

 生活保護は最低限の生活はきちっと守っていかなければいけない。しかしそれ以上については働く意欲が湧く方策がなければダメでけじめが必要です。

(2015年12月28日「中田宏ブログ」より転載)