猪野亨(弁護士)

 大分県の別府市、中津市が生活保護受給者のパチンコ利用について浪費だからということで生活保護費の支給まで停止していた事件がありました。厚労省、大分県からも違法であるとして是正要求を受け、両市ともにこのような停止処置は実施しないということになりました。

 当たり前のことです。生活保護費は支給された額をどのように使おうとも原則、自由です。それが最低限度の文化的な生活としての給付である以上、節約して貯めることなど全く要求されていません。パチンコに使えば浪費で、他の趣味に使えば浪費でないなど言えようはずもありません。別府市、中津市のやり方は過ぎたる干渉ですし、それ以上に保護を停止したということ自体、重大な人権侵害行為です。最低限の生活費そのものなのですから生存権そのものに関わる問題です。
 このように是正されはしたのですが、難癖をつけている新聞があります。

ただ、納税者からは「受給者が浪費するのは疑問」という声も上がっており、今後、波紋が広がりそうだ。

 このような記事を書くのは産経新聞と決まっていますが、納税者と生活保護受給者を分断するようなこのような書き方自体、問題です。これでは、納税者が生活保護受給者を養ってやっているという発想そのものではないですか。生活保護が憲法上の権利であり、生活に困窮していれば、誰もが生活保護を受給できるのであってこのような分断は、国民の間に対立を煽っているだけでしかなく、悪質です。

 生活保護受給者がパチンコをすることが問題というよりも、ギャンブルとしてのパチンコが野放しになっていることこそ問題なのです。国会では、一部の議員がカジノ解禁せよ、などとやっていますが、ギャンブル依存症は一定数存在しているのであり、そもそもこのような生産性の全くないマネーゲームなど、さっさと禁止すべきものです。

 パチンコだって趣味の1つではないのか!

 だったらお金を掛けることのないギャンブル性のないパチンコで楽しんで下さい。カネを掛けなければつまらないというのであれば、パチンコが好きというよりはギャンブルが好きなだけ。ギャンブルの中で、お馬さんを選ぶのかパチンコを選ぶのかという程度の差しかなく、ギャンブル性のあるパチンコを認める必要性など全くありません。