雨宮処凛(作家、社会運動家)

 「安倍晋三から保育士守れ!」「安倍晋三から介護を守れ!」

 「保育園落ちたの私だ」というプラカードを掲げて人々が国会前に集まった翌週、「パートなめんな! 最低賃金1500円デモ」にて、そんなコールが叫ばれた。デモ中、スピーチをしたパートで働く女性は、アベノミクスと言われながらもちっとも楽にならない生活について語り、「本当に景気が良くなっているのなら、なぜ私たちの賃金は上がっていかないのでしょうか?」と訴えた。

 一方、3月20日に新宿で開催されたAEQUITAS(エキタス 最低賃金1500円を求める若者たちの運動体)の街宣では、「派遣なめんな」「嘱託なめんな」「非正規なめんな」というコールに続いて、「保育士なめんな」「介護士なめんな」という言葉もコールされた。この街宣には民主、社民、共産の野党議員も参加し、「経済イシューで野党は共闘!」「経済にデモクラシーを!」というコールがアルタ前に響き渡った。

 また、この原稿を書いている現時点でまだ開催されていないが、3月25日には、保育士を目指している人たちによって、早急な待遇改善を求めて国会前でアクションが予定されている。Twitterのハッシュタグは「♯保育士目指してるの私だ」。

 「保育園落ちたの私だ」というブログから、おそらく書いた本人が予想していなかったほどの規模で広がる「怒り」と「アクション」。

 背景にあるのはもちろん長らく改善されない待機児童の問題などだが、この一連の動きを見ていると、安倍政権が「女性の活躍」などと言えば言うほど、女性たちの怒りが大きくなっていくような気がして仕方ない。「女性が輝く? フザけんな!」。「女性の活躍」が掲げられてから、どれほどこの言葉を耳にしてきただろう。
衆院予算委員会で民主党(当時)の山尾志桜里氏(左手前から2人目)の質問に答弁する安倍晋三首相=3月15日(斎藤良雄撮影)
衆院予算委員会で民主党(当時)の山尾志桜里氏(左手前から2人目)の質問に答弁する安倍晋三首相=3月15日(斎藤良雄撮影)
 たぶん、安倍政権の女性の活躍は、多くの女性にとってズレているのだ。

 例えば3月15日、防衛省は陸上自衛隊の戦闘ヘリ操縦士や海上自衛隊の掃海艦艇乗員に女性自衛官を起用できるようにしたと発表。昨年11月には女性自衛官の戦闘機パイロットへの起用を認めた。「女性活躍推進」の一環だという。一方で、「女性の活躍」は「きれいなトイレから」などと打ち出され、「他にもう少し考えることなかったのか」と突っ込みどころは枚挙に暇がない。