玉木潤一郎(経営者)

 「保育園落ちた日本死ね!!!」と題した匿名ブログが、国会でも取り上げられ、その後ブログの賛同者が厚労相に対し署名を手渡すまでに至った。小さな意思表示が日本中に伝わり、それが国会にまで届く速度は、SNSの普及によって飛躍的に高まったと言えるだろう。

 この件については、私の周りの働く女性達からも、様々な声を聞く。日本が子育てしながら働く女性に対していかに酷薄であるか、また出産後に社会復帰して活躍したい女性の負担がいかに大きいか、共感の輪が広がっている。

 保育園の整備など、国や地方自治体が取り組むべき問題は多く、そこに関する議論は数多く目にするが、反面、この手の問題に対しては、働く場を提供する側である企業の、ひいては経営者が沈黙しがちだ。

 なぜか。

 経営者がこの手の問題にうかつに発言すると、どうしても雇用「する側」「される側」という視点で受け取られがちであるからだ。そうでなくても労務問題はデリケートで、経営者にとっては扱いづらい。中小零細企業の経営者には、営業や技術に長けた者は多いが、労務畑の専門家は極めて少ないことも影響しているだろう。

 しかし今回、地方で零細企業を経営する一人として、また地方で起業支援に取り組んできた者として、誤解を恐れずに少々もの申してみたい。

 なお、日本の企業総数の99%は中小零細企業であり、日本の人口の90%は東京以外の地方に住んでいる。私の「地方で小さな会社を経営している」という立場は、経営者としては数値的にも多数派であることも申し添えておきたい。

企業にとって子育て女性を受け入れる態勢とは


 先のブログ炎上から飛び火して、女性が活躍するためには「企業がもっと女性活用に積極的にならないと問題は解決しない」という見方が強まっているように思う。しかし経営側にとって出産前後の女性の雇用問題は、極めて多面的な問題をはらんでおり、安易に取り組みづらいのも事実だ。
 さて、女性が妊娠・出産したからといって、言うまでもなくその業務能力までが低下するわけではない。まして、これまで何らかの重要なポジションにいた女性であれば、経営側も仕事を辞めないで頂きたいし、出産後は戻ってきて欲しいと考えるのが普通だ。

 私の経営するいくつかの会社でも、女性社員が妊娠した場合には、本人が望む限り、産休・育休を取得している。その女性社員が携わる業務の内容に関わらず、である。そして、育休後の女性が職場復帰する時機は、まさに今回のブログ問題と同様に、「子供を預けられる保育園が確保できた」その時である。