やまもといちろう(ブロガ―・投資家)

 先日来、問題となっていた「保育園落ちた日本死ね!」話は、多くの育児世代の共感と、有効な政策の着地のむつかしさという事例を見せてくれました。

 この保育園の構造は、やはり政策の縦軸と横軸、つまり過去から今に至る問題という横軸、国の政策と地方自治体の抱える現状という縦軸を孕んでいます。過去のコンテクストを無視していきなり有効な政策を打ち出すこともできないし、国が頑張るからといって解決への道筋がストレートに見えるものでもない、ということです。

保育の充実を求める署名を塩崎厚労相(右端)に手渡す育児中の女性。 左端は民主党の山尾志桜里氏=3月9日、国会
保育の充実を求める署名を塩崎厚労相(右端)に手渡す育児中の女性。 左端は民主党の山尾志桜里氏=3月9日、国会
 まず、政策の流れで言うならば、そもそも日本が少子化問題に突入する可能性が高いことなど、事前にすべて分かっていました。なので、1994年に「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」という、通称エンゼルプランが策定されました。これは当時の文部省、労働省、厚生省、建設省の4大臣で合意されたもので、子育て世代の負担を緩和するために少子化対策が推進されてきた経緯があります。

 さらに、99年12月には「少子化対策推進基本方針」に基づいて「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画」を定めた通称「新エンゼルプラン」が策定されています。これは当時の大蔵省、文部省、厚生省、労働省、建設省、自治省の6大臣が合意したもので、「少子化対策推進関係閣僚会議」にて決定された方針に沿って、子育て世代の支援をさらに拡充しようというものでした。

 実際に行われた政策の是非については紙幅の関係で詳述は控えますが、99年の段階で策定された「新エンゼルプラン」では

1)保育等子育て支援サービスの充実(低年齢児の受け入れ枠の拡大、延長・休日保育の推進等)

2)仕事と子育て両立のための雇用環境整備(育児休業普及率の引き上げ、短時間勤務制度の拡充等

3)働き方についての固定的な性別役割や職場優先の企業風土の是正

など、17年後の現在でも似たような議論がされている内容についてすでに指摘され、取り組むべき重要な政策であるとして方針を打ち立てられてきました。それでも、少子化対策については目立った効果を生むことができず、結果として出生率の大幅な下落を招くことになったのです。