謝罪からシーズンが始まった読売ジャイアンツが好調だ。

 開幕連勝こそ4で止まったが、高橋由伸新監督はこれ以上ないと言っていいほど、幸先の良いスタートを切った。

 ここ数年、外国人に長距離砲に当たらなかった巨人の新外国人ギャレットが5試合で早くも3本のホームランを放ち、5番のクルーズもホームラン2本、打率.389と持ち味を発揮している。それに何より、高橋監督にとってうれしい誤算は捕手・小林誠司の活躍だろう。開幕3連戦では投手たちをよくリードし、自ら殊勲打を放って、連日勝利の立役者になった。

守備練習をする巨人・阿部慎之助(左)と
ポジションを争う小林誠司=2月 16日、
沖縄県那覇市の奥武山運動公園(撮影・吉澤良太)
守備練習をする巨人・阿部慎之助(左)と 小林誠司
=2月 16日、 沖縄県那覇市の奥武山運動公園
(撮影・吉澤良太)
 昨季もホームベースを任されながら期待に応えきれず、シーズンオフには一塁手に転向していた阿部慎之助が再び捕手に呼び戻され、小林誠司は半ば正捕手失格を宣告されたような状況だった。その阿部がケガもあり、コンディション不十分で開幕2軍スタートになった。それは、新生・高橋巨人にとっては青天の霹靂とも言える一大事だったが、小林誠司の奮闘で、大ピンチは逆に大きな希望の糧になった。

 以前のコラムでも触れたことがあるとおり、昨シーズンのプロ野球各チームは、「捕手併用」が目立った。併用と言えば意図があるように感じられるが、全試合でマスクをかぶってもらえる「絶対的な正捕手」がいない現実が最大の理由だ。かつてはV9巨人の森捕手、南海の野村捕手、さらにはヤクルトの古田捕手、阪神・矢野捕手ら、優勝するチームには必ずと言っていいほど、毎試合その座を譲らない正捕手の存在があった。

 試合数も多く、移動距離も長い、しかも連戦が続くメジャー・リーグでは全試合に同じ捕手が出場するのは「クレージー」との認識があり、正捕手を補う第二捕手の存在は重視されている。とはいえ、正捕手はやはりはっきりと固定しているチームが長いシーズンを優位に展開している。昨季は12球団のうち10球団が複数の捕手を併用した。優勝したのは、セ・リーグが中村捕手固定のヤクルト。パ・リーグがやや併用ではあるが細川捕手という軸のあるソフトバンクだった。その意味では、阿部慎之助が再び正捕手として窮余の策とはいえ、今季巨人が覇権を現実に見据えるための最低条件のはずだった。

 あるいは、高橋由伸監督が、最初から小林誠司を軸に据えるため、阿部に捕手復帰を依頼し、小林誠司の成長を刺激したのだとすれば、ここ数年の最大の功労者をまるで捨て石のようにするわけだから、監督と阿部とのものすごい信頼感、まさにチームワークの賜物と言えるし、それに応えつつある小林誠司もまた「男」だと言えるだろう。