門田隆将(作家)

 

 これは、ひょっとしたら、舛添要一都知事の“命取り”になるかもしれない。私はそう思っている。いや、そうすべきだと思う。

 都議会議員のやながせ裕文氏が、「舛添知事は、韓国人学校より保育所をつくれ!」と必死で訴えている新宿区の「韓国人学校問題」のことである。

 私は、都民であり、新宿区民でもある。今はもう成人しているが、二人の息子は新宿区で育っている。新宿区民として、やながせ都議に「がんばれ! なんとか舛添知事の暴走を止めてください!」と声を大にして言いたいと思う。

 発端は、3月16日、東京都が韓国学校を増設する用地として、新宿区矢来町にあった旧都立「市ケ谷商業」の跡地を韓国政府に有償で貸し出す方向で「具体的な協議に入る」と発表したことだ。

 そのことを報じた産経新聞によれば、「韓国政府から要請があったため」で、都は地域住民の意見を踏まえ利用方法や条件などを詰めるのだそうだ。しかし、これに反発の声が上がった。新宿区と言えば、東京都の中でも待機児童の多さで、かねて有名な地だからだ。

 新宿区では、昨年4月時点での待機児童は「168名」となっている。話題になったツイッターの「保育園落ちた日本死ね!!! 何なんだよ日本。一億総活躍社会じゃねーのかよ」とつぶやいた母親ではないが、本当に「何なんだよ日本」と思っている母親はいくらでもいるのである。

 都では「保育所」や「特別養護老人ホーム」など福祉施設が大きく不足しており、待機児童、待機老人問題は言うまでもなく喫緊(きっきん)の課題だ。やながせ都議によると、東京都は都立公園の緑地まで「福祉施設に転用」しなければならない事態に陥っているという。

 当該の市谷商業の跡地は、現在、新宿区立小学校の校舎の建て替えで仮校舎になっており、これが終了したら、新宿区で「2校目」になる韓国人学校の用地にする計画だという。
東京都が都有地を韓国学校の増設用地として貸与することに「絶対反対」のプラカードを掲げ声を上げる人たち=3月25日午後、東京都新宿区の都庁前
東京都が都有地を韓国学校の増設用地として貸与することに「絶対反対」のプラカードを掲げ声を上げる人たち=3月25日午後、東京都新宿区の都庁前
「都民より韓国人を」という舛添知事の感覚はどこから来るのだろうか。新宿区にすでに1つある韓国人学校で生徒が収容できなくなったというのなら、自分たちで土地を探して「2か所目」をつくればいいだけのことである。

 待機児童や待機老人問題をはじめ、さまざまな用途がある都の土地を「韓国人学校のために貸与しなければいけない理由」は一体、どこにあるのだろうか。しかも、昨年、新宿区長が市谷商業跡地の「継続使用」を都に打診したところ、都から「要望は受け入れられない」と断られた、というのである。

 周知のように韓国人学校は、韓国の「民族教育」がおこなわれている各種学校に過ぎない。そんな学校に、なぜ都民(新宿区民)がシワ寄せを受けなければならないのだろうか。

 都の資産や税金が韓国の「民族教育」のために使われることに「都民のコンセンサス」が得られるなら、舛添氏は、これを取ってからやるべきだろう。