上念司(経済評論家)

 舛添要一東京都知事の豪華な外遊が批判を浴びている。昨年、10~11月にかけてロンドン、パリに5泊7日で出かけた海外出張費が総額5042万円もかかったそうだ。総員20人の視察だったそうで、一人当たりの費用は約250万円である。

 もちろん、東京都知事が外遊先でビジネスホテルに泊まるわけにもいかないだろう。飛行機だって最低でもビジネスクラスで問題ない。それぐらい都知事は忙しいし、いわゆる「格」も高いはずだ。

定例会見で記者の質問に応じる東京都の舛添要一知事
=1月12日、新宿区の東京都庁
定例会見で記者の質問に応じる東京都の舛添要一知事 =1月12日、新宿区の東京都庁 
 国際親善の一環として、日本の地方自治体が海外の都市と姉妹都市提携することは珍しくない。もちろん、基本的にこれを政府が咎めることはない。ただし、それがあくまでも国際親善である限りは。

 本来、外交は政府の専権事項である。厳密に言えば、地方自治体は外交などやってはいけない。例えば、IS(自称、イスラム国)が首都だと勝手に決めているシリアのラッカや、北朝鮮の弾道ミサイルの発射地点とされている東倉里と姉妹都市提携することは可能だろうか? もちろん、それは不可能だ。

 念のため調べてみたが、日本国内で唯一北朝鮮の元山市と姉妹都市提携していたのは鳥取県境港市だった。ところが、1992年に結ばれた姉妹都市協定は、14年後の2006年に破棄されている。理由は、2002年に北朝鮮が正式に拉致問題を認めたこと、そして2006年9月に核実験を行ったことだ。実は、拉致の犯人が北朝鮮だったということが判明した時点で、この姉妹都市提携は実質的にはこの時点で儀礼的なやりとり以外、交流はストップしていたそうだ。そして、核実験が決定的な事件となり、形式上も姉妹都市提携は破棄された。もちろん、破棄を申し入れたのは境港市側からだ。

 このように、都市間の国際交流は国と国との外交関係をベースとして維持されるものである。北朝鮮のように、未だに日本人を拉致し、核実験や弾道ミサイル発射を繰り返す国とは外交上の問題を抱えており、ハッキリ言って国際親善なんてやっている場合ではない。こんなことは当たり前だ。