「今の高齢者は、自力で親を扶養しながらここまで日本を発展させた。そのおかげで若い世代が豊かに暮らせるのだから、受け取る年金に差があっても、若者が損とはいえない」

 2年前、厚生労働省がインターネットで公開した公的年金に関する漫画の一コマだ。世代間格差を正当化するかのようなセリフに、「国の狂気」「年金払う必要性がないと確信」とネットは“炎上”したが、漫画は今も公開されている。

 金融機関への就職を控えた私立大4年の女子学生(22)=東京都杉並区=はいう。「保険料を払うのは義務。でも自分の老後に年金はもらえないのでは」

 結婚や出産をしても仕事は続けるつもりだ。「共働きでなければ、子供は育てられない。だから保育園が必要なのに入れない。義務は果たすから、高齢者より次の世代を支援してほしい」。最近、雑誌で「保育園新設に反対する周辺住民は高齢者が多い」という記事を読み、ため息が出た。

 個人が生涯支払う税金や保険料などの「負担」と、国から受け取る年金や医療保険などの「受益」を推計し、その差額を世代別に比較する「世代会計」という指標がある。中部圏社会経済研究所の試算では、現在の70~74歳が2100万円余りも“得”をするのに対し、20~24歳では4500万円以上の“損”。生涯所得に占める税金などの負担率も70代は1割以下だが、20代では2割を超える。

 若い世代は「豊かな暮らし」が思い描けない。東京私大教連の調査によると、平成26年度に都内の私大に通う自宅外生の1日当たりの生活費は897円。バブル時代の約3分の1だ。

 「友達に『たまには飲みに行こう』とはいえても、『旅行に行こう』とはいえない。理由? 金以外にないっすよ」。男子学生(22)=江東区=は打ち明けた。「僕らは『さとり世代』。でも高級車に乗りたくないわけじゃない。将来を考えたら、乗れないんです」

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 「日本は年寄りを優遇しすぎている」。栃木県内でアルミサッシ製造会社を営む渡辺典雄さん(70)は、月に約15万円の年金がある分、自身の報酬は抑え、従業員に回す。

 「高齢者は働かない方が得をする。今度の『3万円給付』はバラマキだ」

 渡辺さんが憤るのは、27年度補正予算に盛り込まれた「年金生活者等支援臨時福祉給付金」のことだ。65歳以上の低所得者に一律3万円を支給し、対象者約1100万人、予算額3600億円に上る。半面、中学生以下の子供約1600万人に1人当たり3千円(27年度)支給されていた子育て給付金は打ち切られる。