高橋洋一(嘉悦大学教授)

 他人の懐具合は誰もが気になるところだ。2014年7月に高山佳奈子・京大教授がブログで自身の給与を公開したことが、いまさらであるが話題になった。

 京大教授で基本給660万円に賞与279万で年収940万円。これが高いのか低いのか。

 まず、厚労省の平成27年賃金構造基本統計調査を使って、大学教授以外の職種別給与を見ておこう(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html)。129職種を年収順に並べたものが以下の表である。

 大学教授は、平均年齢57.5歳、勤続年数17.1年、労働時間161時間/月、超過労働0時間/月、給与月額657,600円、年間賞与2,983,400円。年収を計算すると年収1087万円で、航空機パイロット、医師、弁護士に次いで129業種中第4位である。高山氏は46歳当時の給与940万円であるが、厚労省の統計での大学教授は平均57.5歳であるので、年齢差を考慮すると、大学教授としては決して低いとはいえない。

 一般の会社の中では、大学教授の給料はどう見えるのだろうか。これも、厚労省の統計をみると、産業計の55~59歳の部長級は、平均年齢57.3歳、勤続年数28.1年、労働時間163時間/月、超過労働1時間/月、給与月額662,500円、年間賞与2,633,800円と大学教授とかなり似ている。部長級の年収は1058万円とほぼ大学教授と同じだ。

 以上の統計を見ると、日本での大学教授は職種としては高給取りに属する。会社で言えば部長級ということになる。

 日本だけを見るより、世界も見てみよう。例えば、アメリカについて、労働省の「Occupational Employment and Wages, May 2015」(http://www.bls.gov/oes/current/oes251112.htm)では、大学教員の平均給与が出ているが、それによれば772.4ドルになっている。1ドル=110円で換算すると850万円だ。これは、教授だけではないので、日本との単純な比較はできないが、大きく差があるというほどでも無いだろう。

 全米の各大学教員の給与を示すサイトもある(http://data.chronicle.com/faculty-salaries/)。そこで、教授職の給与をみると、実に多様性がある。東部の有名私大では、2000ドル程度である。筆者が3年間留学させてもらったプリンストン大学は全米10位で1945.53ドルだ。ただし、4542校中、1000ドル超は498校にすぎず、アメリカの平均的な大学の教授給与は、労働省のデータとそれほど違いがないようだ。

 以上、日本の大学教授の給与について、日本の他の職種との関係、アメリカの大学教授の給与との関係をみてきた。あくまで、統計数字で出てくるものは平均的な姿である。それらを見る限り、日本の大学教授の給与は、高すぎる、低すぎるというものではなく、まあまあというものだろう。

 冒頭の高山氏のブログには、「副収入はあるが、しばしば赤字」、「研究費は年間12万5000円」、「京大をやめません」という追記もある(http://kanakotakayama.blog.eonet.jp/)。

 さらに、かつての独立行政法人通則法での「社会一般の情勢に適合したものとなるよう」を引用しながら、圧倒的多数の論調は「私大並みに引き上げるべき」と指摘している。