河合雅司・産経新聞論説委員

 大学関係者の間で「2018年問題」という言葉が語られている。近年横ばい状態にあった18歳人口が、この年あたりから再び大きく減り始めることから、「倒産する大学が相次ぐ」との懸念が広がっているのだ。

 昨年生まれの子供が大学受験を迎える2031年の18歳人口は約104万人で、現在より15万人ほど少ない。折しも、大手予備校「代々木ゼミナール」の校舎の7割強が閉鎖されることも明らかになった。大学の大淘汰(とうた)時代がいよいよ現実味を帯びてきた印象だ。

 教育界が18歳人口減少の危機に瀕(ひん)して久しい。すでに半数近い私立大学が入学定員割れしている。少子化が進むのに大学数が増えたのだから当然の帰結である。

 これまでも各大学は生き残りをかけ、志願者が増えそうな校名への変更や学部新設、多様な入試制度の導入など、あの手この手で受験生集めをしてきた。だが、小手先の対応はいつまでも通用しない。年間出生数は急坂を転げ落ちるように減るからだ。2020年は83・6万人、2030年には74・9万人と推計されている。

 かつて大学の経営破綻は「小規模な地方私立大学の問題」と受け止められることが多かった。

 だが、民間有識者による「日本創成会議」の分科会が公表した2040年までに自治体の半数が将来的な「消滅」の危機にさらされるとの推計結果を見る限り、今後は国公立大学とて無関係で居続けられるとは言い難い。

 分科会は若い女性が大都市圏に流出する地域では人口減少に拍車がかかるとみているが、それは18年後に大学進学年齢者が激減することでもある。世界レベルの大学や全国から受験生を集める大学は別として、地元への進学希望者の受け皿となってきた国公立大学の場合、地域の受験生の激減は死活問題となる。

 では、人口激減地域にある国公立大学はどうすべきなのか。まずは、蓄積してきた「知的財産」を活用し、地域の若者流出の歯止めに全力を傾けることだ。

 政府は拠点都市を定めて人口集積を図る構想を進めようとしている。有能な教授陣を抱え、地域に人材を送り出し続けてきた国公立大学こそ、地方創生の中核的役割を担うのに最適ではないのか。

 特産品の開発といったレベルではなく、自治体や地元企業を巻き込んで雇用創出や起業の後押しをするなど、街づくりに積極的に関わるのである。地域が「消滅」してしまったのでは、大学も存続し得ない。

 国土交通省の「国土のグランドデザイン」によれば、三大都市圏を除くと17万5千人規模の自治体の8割に大学が存在する。これが12万5千人規模になると半数には大学がない。極端な言い方をすれば、「17万5千人」を維持できるかどうかが、地方大学の生き残りの指標の一つとなりそうだ。

 もちろん、国公立大学自身も変わらなければならない。卒業生が地元で就職したくなるよう地域の特性に合わせた学部再編も求められよう。地域企業との技術開発の連携強化や、社会人の再教育の場としての機能もこれまで以上に期待される。