また悲しい報道に接した。バドミントン界の期待の星・桃田賢斗選手と田児賢一選手らの裏カジノでの賭博問題。やるせない気持ちで、私自身、力が抜ける思いだ。

遠征先のマレーシアから帰国したバドミントン男子の田児賢一選手
(手前)と桃田賢斗選手=4月7日、成田空港(春名中撮影)
遠征先のマレーシアから帰国したバドミントン男子の田児賢一選手 (手前)と桃田賢斗選手=4月7日、成田空港(春名中撮影)
 もう10年以上前から、スポーツ界の構造的な堕落を訴えてきた。ところが、メディアも多くがスポーツを盛り上げ、本質的な問題を棚上げして、2020東京五輪に猛進してきた。柔道連盟の不祥事が出た時も、様々な競技の多くの選手の事件が露呈した時も、メディアの大多数が一貫して、問題を起こした個人や当該組織が引き起こした部分的な問題だと扱い続けてきた。

 私は終始、「それらは現代のスポーツをめぐる環境が引き起こす構造的な問題であって、その体質は一部の問題選手、問題組織を腐敗させているだけでなく、スポーツに打ち込むすべての人々をも蝕む、危険な体質をはらんでいる。だから、少年少女にスポーツを熱心にやらせることも考え直したほうがいい」と警鐘を鳴らしてきた。幸か不幸か、そうした叫び声はほとんど取り合ってもらえないほど、日本中のスポーツへの支持率は高かった。ところが、大相撲の八百長問題、昨年の東京五輪エンブレム盗作問題、新国立競技場問題で立て続けにスポーツ界に逆風が吹き始めた。そして、巨人選手の野球賭博事件、さらに今回の事件が追い打ちをかけて、いよいよスポーツ全体を見直すべきだと考える空気が覆い始めたように感じる。

バドミントン全日本総合選手権、桃田賢斗選手
=12月3日、代々木第二体育館
バドミントン全日本総合選手権、桃田賢斗選手 =12月3日、代々木第二体育館
 一体、何がスポーツ選手をこれほど安易な行動に導くのか? 残念ながら、「人間性を高める」などという、美しい言葉で飾られる目標への取り組みに、最近のスポーツ現場で心底感動を伴って接する機会は少ない。

 勝てばいい、強ければいい、結果が出ればいい。そのために、見えないところで汚い手を使うのは当然。パワハラやイジメとも思える厳しい叱責や扱いにも耐えて当然、それで挫けるやつはそもそも見込みがない、という考え方はいまだに多くのスポーツ指導者に染み付いている。それは、トップレベルの競技現場に限らない。少年野球など、いわゆるお父さんコーチたちでさえ、コーチの立場を持つとなぜか口汚い言葉を使い、人格が変わる、不思議なスイッチがスポーツにはある。その体質を徹底して変革するのは、相当に強いメッセージの発信と強烈な転換の自覚と意志が必要だ。