西村眞悟(前衆院議員)

 本通信の表題の冒頭に、二日連続して「なに!」と書くことになった。その理由は、書かざるをえないからだ。 

 「泣き叫ぶ二十万人の若き朝鮮人女子を、我が日本政府や日本軍が強制的に連行して日本軍兵士の性奴隷にした」

 このようなおぞましい事実が、あったのか、なかったのか。このことに関して、日本政府と日本国民は、大東亜戦争中から戦後七十一年を迎える本年までの八十年になんなんとする間、一貫して、そのような事実はなかったと認識してきた。
 
 七十年以上前の時代を現実に生きた人々は、日本軍兵士のみならず朝鮮人も、慰安所で働く朝鮮人婦女子が日本軍や日本政府に強制連行されて性奴隷としてそこにいるのではないことを当然のように知っていた。

 ところが、現実に戦時に生きた人々が高齢化して、その人口が減少してきた頃に、吉田清治という人物が「慰安婦狩り」をしたと強制連行を捏造した本を出版するや、朝日新聞がそれを大きく報道し、その報道に併せて韓国に強制連行されたという老女が現れ、日本を韓国政府と共に非難し始めた。

 ところが、吉田清治が慰安婦狩りをしたと本に書いた韓国済州島において、そのような事実はないことが直ちに判明した。にも、関わらず吉田清治に続いて日本側に、韓国の対日非難に配慮して、不可解にも、あたかも強制連行を認めたかのような談話を発表する官房長官が現れた。

 しかし、ないものはないのであるから、日本政府がいくら当時の記録を探しても「強制連行」を裏付けるものはなく、反対に強制連行をしていないことを示すものがあるのみだった。

 即ち、日本政府および外務省は、吉田清治が捏造しても、朝日新聞が捏造記事を書いても、

 河野官房長官談話が「あやふや」でも、韓国がアメリカやソウルの日本大使館前に、「二十万人を日本政府が強制連行して性奴隷にした」というプレートを貼った慰安婦像を建てても、強制連行は捏造であり事実ではないことを一貫して知っていた。

国連女子差別撤廃委員会に出席する外務省の杉山晋輔外務審議官ら
=2月 16日 、ジュネーブの国連欧州本部(田北真樹子撮影)
国連女子差別撤廃委員会に出席する外務省の杉山晋輔外務審議官ら =2月 16日 、ジュネーブの国連欧州本部(田北真樹子撮影)
 しかしながら、日本政府及び外務省は、国際社会に「強制連行は捏造だ」と一言も説明しなかった。その結果、どうなったか。国連はもとより、欧米も世界も、日本軍は二十万人を強制連行して性奴隷にしたと認識した。

 そのあげく、昨年十二月二十八日、我が国外務大臣が韓国に慌ただしく飛び、韓国外務大臣との間で、従軍慰安婦に関して訳の分からん「最終的かつ不可逆的な解決」に達し、同時に総理大臣が韓国大統領に電話をして「反省と謝罪」を表明した。河野談話や村山富市談話と同じだ。

 そして、こうなってから。昨日二月十六日、我が国外務省の杉山外審(ナンバー2)が、ジュネーブの国連欧州本部で開かれた女子差別撤廃委員会の対日審査で、

 始めて、慰安婦強制連行は捏造だと説明したのだ。日本政府と日本国民は、これが捏造だと知っている。しかし、欧米や世界は、二十年以上にわたって強制連行を叫ぶ韓国の対日非難は認識しているが、
 今になって、始めて、「それは捏造です」という日本外務省の説明に接したのだ。 
 
 「なに!今まで、説明しなかったのか!」とあっけにとられていると言わざるをえない。

 これは、今になって外務省よく言った、と好意的に受け取れない。
 
 外務省が黙って説明しなかったこの二十年間の間に国際社会のなかで、日本国と日本国民の無念にも奪われた名誉の重さを思えば、あらゆる証拠があるのに頑なに否認してきた犯罪者が、最後になって「自白」しても、その情状を評価できないのと同じだ。
 
 国家と民族の名誉のために、外務省を非情に鞭打たねばならない。