林数馬(株式会社「おぼうさんどっとこむ」代表取締役、僧侶) 

 宗教行為のネット販売は是が非かと問われるなら、私は間違いなく非と答える。今回のAmazonでのチケット販売に端を発した一連の騒動。そこには真の仏教は存在しない。なぜなら真の仏教はそんなことにかかずらわないからだ。

 あくまでかかずらっているのは、仏教者・仏教会であり、対相手も仏教ではなくネット販売業者であるからだ。要するに人と人との意見の相違であり、そんなことは生きていれば日常茶飯事に起こることである。それこそ仏教的に言えば、「かかずらうな」である。

 なのに、かかずらって、こだわって、お互いの立場に執着しているのはなぜなのか?

双方共に仏教とはかけ離れたところで、自分たちの立場を正しいとかかずらい、相手との立場の違いを鮮明にするためなのか、無用である不安から出る言葉を贈り合ってもいる。

 この有り様を見て、お釈迦様なら何とおっしゃるだろうか。その言質を借りて申し上げれば、受け取られない贈り物は誰のものか?という話ではないのだろうか。

 お互いを責め合い、いずれか片方が勝利するまで続けることが、真の仏教であるか否か。そんなバカげた問いを投げかける必要もないだろう。なぜなら、その果はいずれをも成功や失敗、勝利や敗北と分かたない。ひとつの時代の、ひとつの出来事に過ぎないのだから。

 しかしながら今、そのかかずらい合いに、批判も恐れず私見を申し上げれば、くだらない。ただその一言である。でも、これでは話が終わってしまうので、以下の通りに書いてみた。読むも読まぬも、読者のみなさましだいであるが。

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 まずもってこの題に沿って話を進めるのは、あくまでも私の私見であることをご諒解いただきたく存じます。この問題の原因は、仏教者・仏教会側は、仏教の前に「寺」を置き、ネット販売する側は、お客様、僧侶(総じて人)の前に「儲け」を置いていることにあると思います。そしてこの問題の責任は私にもあると思っています。
 この日本から仏教が廃れてしまうという思いから、警鐘を鳴らすべく、僧侶派遣という仕組みを以って、「社会に信用される僧侶としての新しい形」の実現を目指し、世の中に信を問う事業を立ち上げて12年。10年ひと昔と言われる世の流れは、5年いや3年、もっと言えば1年1年と、世の中の変化速度が上がり続け、人心の変化もそれに伴いネット上に氾濫する過多な情報に振り回される始末。

 私が株式会社おぼうさんどっとこむを起業して3年半は、借金がかさみ、自死までを考える苦しい状況が続いていました。そんな中、ある新聞紙面へと記事が掲載されると共に、世の多くの方におぼうさんどっとこむが知られることとなり、その後の依頼の多さで、お布施と呼ばれる不明瞭でいくら納めればいいものかと不安にさせる金銭の支払いに、悩まれている方がたくさんいることも分かることとなりました。

 その後もマスコミ各社に、弊社おぼうさんどっとこむを取り上げていただき、多くのお客様、ご利用者様に依頼をいただくこととなった反面、弊社の取り組みは儲かるとでも思ったのでしょうか、仏教のぶの字も知らないであろうネット業者による模倣、もしくは弊社の名前をもじって誤認せしめる組織の乱立を生み、創業時に懸念していた、いかがわしい業者、ニセ坊主、無資格僧侶の排除は非常に困難な状況ともなって参りました。

 しかし、弊社はこれからもその煩わしさを排除せず、従前通り面接を通して、その人柄と僧籍、教師資格の確認を怠ることなく、またお客様、ご利用者様の想いの一言一句を丁寧に聴き取り、そしてそれに応える提案をするべく、1件1件に心を籠めて対応して参ります。