木走正水

 さて都知事選の結果ですが田母神俊雄氏が得た61万票余りが注目されています。

 特にマスメディアの出口調査によれば、投票した20代の4分の1近くが彼に投票したことやネット上の支持率が彼が群を抜いて突出していたことなどから、主に左派・リベラル派の論客が「ネットの保守化」や「日本の右傾化」について論じています。

 今回は左派・リベラル派の論を三題取り上げて「田母神俊雄氏が得た61万票」について考えてみたいです。BLOGOSから2題。

 まずは小串聡彦氏のエントリー。

田母神氏の台頭は「大雪のせいだ」

小串 聡彦

http://blogos.com/article/80233/


舛添要一氏当確の一報を聞き、選挙事務所で頭を下げる
田母神俊雄氏=2014年2月9日(蔵賢斗撮影)
 うむ、田母神氏が「極右」候補かどうかは議論のあるところでしょうが、小串氏は大雪のために投票率が下がり相対的に田母神氏の得票率が上がったとの見立てで論を進め結論として、「現実路線の中道左派政党が作れるかどうかが今後のカギである」としています。

 失礼してエントリーの結びの箇所を引用。

 日本の極左および極右の台頭の動きは、ただでさえ不安定な政治システムをさらに不安定にする、危険な兆候といえよう。欧州の事例からは投票率の上昇が極右勢力の台頭を抑える可能性があると示したが、それは確固とした中道政党の存在を前提としている。中道政党が受け皿として存在しなければ、投票率の上昇はそのまま急進的な政治勢力に飲み込まれる。特に欧州の極右政党は、経済的弱者に訴求力を持っているといわれるが、これは日本でも同様である。本来は中道左派政党が解決策を提示して貧困層を取り込むのだが、日本ではそこに訴求する勢力は共産党しかない。中間層がどんどん浸食される中で、現実的な対抗策を打ち出せる中道左派がいない。現実路線の中道左派政党が作れるかどうかが今後のカギである。

 続いて五十嵐仁氏のエントリー。 

日本は右傾化したのか

五十嵐仁

http://blogos.com/article/80142/


 うむ、日本は右傾化しているのかという問いかけに「安倍晋三首相が高い支持率を得ていることが社会全体の右傾化を示している」とし、「民族を理由に差別の言葉を投げつけるヘイトスピーチ(憎悪表現)やネット右翼の活動など拝外主義的なナショナリズムの高まりもある」「ネット右翼の活動」などを具体例として示しています。

 さらに「右よりの世論は一部とはいえ、ネットなどで発信力を持っている。中国や韓国との緊張に危機感を強めている人もいるだろう」と分析します。五十嵐氏は「右翼的な人とは」との問いかけに以下のように答えています。

―右翼的な人とは。

 「自分の状況が厳しく将来に対する展望や希望を持てない人が、憎しみを他の人に向けており、現実逃避の面がある。政治に異議申し立てや抵抗するのではなく、権力に擦り寄ったり、弱者を攻撃したり、憎んだりすることで自らに対する癒し、慰めを得ようとしているのではないか」

 エントリーは日本の右傾化により「平和・民主国家としての在り方が、大きく変わらないか心配だ」と案じて結ばれています。

 「安倍首相までの自民党総裁は改憲を口にしても、実際にそのための法的な整備に着手しなかった。安倍首相は1次内閣の07年に憲法改正の是非を問う手続きを定める国民投票法を制定した。自民党の憲法改正草案、特定秘密保護法や教育改革も、国家の力、国権を強化する方向を明確に示している。平和・民主国家としての在り方が、大きく変わらないか心配だ」