島村英紀(武蔵野学院大学特任教授)

「阪神・淡路」と同じ最大級の直下型地震


 4月14日の夜、熊本市で震度7の地震が起きた。マグニチュード(M)は6.5であった。震度7は、1949年に新たに気象庁が導入して以来、3回しか記録されたことはない。今回のものは2011年に起きた東日本大震災(地震の名前としては東北地方太平洋沖地震)以来5年ぶりで4回目になる。

 ちなみに、震度7とは、日本の震度階では最高レベルだ。つまり「青天井」でどんな大きな揺れでも震度7なのである。

 4月16日までは、熊本で起きたM6.5の地震は「本震」と言われた。本震と余震は「布田川(ふたがわ)断層」と「日奈久(ひなぐ)断層」の二つの活断層が起こしたと報じられた。
強い地震のため、ホテルのフロントに集まった宿泊客=4月16日午前1時59分、熊本市
強い地震のため、ホテルのフロントに集まった宿泊客=4月16日午前1時59分、熊本市
 だが、16日になってから、さらに大きな地震が起きた。Mは7.3。この大きさは内陸直下型地震としては最大級で、たとえば阪神・淡路大震災を引き起こして6400名以上の犠牲者を生んだ兵庫県南部地震と同じ地震の規模である。

 気象庁は、16日になって、このM7.3の地震を「本震」とし、前に起きたM6.5の地震と、16日のM7.3の地震の前までに起きた余震を、すべて「前震」とする、と発表した。つまり後から大きな地震が起きたので、それを「本震」としたのである。

 だが、前震だとしても、それらを前震として認識できなかったことは明らかで、その後、もっと大きな地震が襲って来ることは予想できなかったことになる。

 さらに、その後16日には、熊本の二つの活断層から北東に離れた阿蘇山の近くでM6に近い大きな地震が二回起き、さらに北東の大分県中部でも震度5弱を記録した地震が起きた。これらは、熊本で起きている地震の余震域の外で起きた地震で、明らかに熊本の地震の余震ではない。新しい地震活動が始まったと言うべきであろう。

定義や認定があいまいな活断層


 そもそも、布田川断層と日奈久断層の二つの活断層は「中央構造線」という活断層群の一部なのである。

 中央構造線は長野県に始まって名古屋の南を通り、紀伊半島を横断し、四国の北部を通り、九州に入って横断する活断層群である。詳しく調べられているところでは布田川断層と日奈久断層のように、場所ごとに別の名前がついている。

 活断層は一般に、枝分かれしたり、途切れたりするのが普通だ。活断層の長さや枝分かれをどう認定するかは学者によって異なる。