放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、熊本地震報道に見る各局の情報番組を分析。

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 熊本地震で被災された皆様に御見舞を申し上げます。

 14日夜9時26分頃、熊本県内で震度7の地震が発生して以来、テレビ各局では報道局が主導となり、緊急特番となった。

 もともと『ニュースウォッチ9』枠だったNHKが第一報からリードしていたものの、現場はかなり混乱。着の身着のままで避難してきた方達に「NHKですが…」とマイクを向けていたことも少々気になった。

 また、スタジオのアナウンサーの脇で指示するディレクターの声がずっとオンエアにのってしまっていた。東日本大震災のとき、内輪の会話がマイクにのってしまい、結果、被災者の方や視聴者の皆さんに不快な思いをさせてしまった在京局が2局あったことを思い出す。NHKのディレクターが不謹慎な発言をしていたわけではないのだが、オンエア的に聞きづらかったことは否めない。

 民放局に目をやると、今週月曜日、メインキャスターに就任したばかりの『報道ステーション』(テレビ朝日系)の富川悠太アナウンサーは、さすがに全国を取材しているだけあり、現場との連携が見事だったし、終始落ち着いていた。

強い地震により一階部分が押しつぶされた歯科医院の建物=4月16日午前4時、熊本市中央区安政町
強い地震により一階部分が押しつぶされた歯科医院の建物
=4月16日午前4時、熊本市中央区安政町
 その後スタートした『NEWS ZERO』(日本テレビ系)は、レギュラー陣が、いつものスタジオではなく報道フロアに集まり、座りではなく立ちで乗り切った。こちらも新メンバーを加えての座組だったが、日頃のチームワークの良さで乗り切ったように思う。

 気になったのは翌朝の民放局だった。『めざましテレビ』(フジテレビ系)や追随する『ZIP!』(日本テレビ系)の成功により、それまでF3、M3に強かったテレビ朝日までがターゲットの年齢層を下げてきている昨今。日頃、いわゆるエンタメ情報やトレンド情報を扱いすぎているせいで、全体的に“報道の顔”をしていない番組ばかりなのである。

 『めざまし~』の三宅正治アナはベテランだが、専門はスポーツ。なので、最新のニュースは報道局から奥寺健アナと斉藤舞子アナが担当していた。

 『ZIP!』も、座組は通常どおりだったので、北乃きいや鈴木杏樹、ZIP!ファミリーの女子らが笑顔でワイプにおさまるコーナーもありつつ、桝太一アナが懸命に進行していた。それでも、速水もこみちをロケに出していたコーナーを始め、この日に出さなければならない“縛り”があると推察できる企画はそのままオンエア。結果、やや浮いた作りになってしまっていたように感じた。

 その点、この4月、「思い切ったリニューアルをした」と他局も注目している『あさチャン!』(TBS系)は、白シャツに黒スーツという出で立ちの夏目三久をメインに、ずっと地震関連のニュースを扱っていた。

 『あさチャン!』がなぜ「思い切ったリニューアルをした」と言われているかというと、番組全編がほぼニュースになったからなのである。

 NHKを除く民放の横並びがどんどん若者向けにシフトしていくなか、みのもんたの『朝ズバッ』の流れを汲む『あさチャン!』には、F3(50才以上の女性)、M3(同・男性)の視聴者が付いていた。

 以前は、テレビ朝日の早朝枠もF3、M3に強いと言われていたが、『グッド!モーニング』は明らかにF2やM2にシフト。在宅率が高く、人数も多いF3、M3層をNHKとTBSが分け合うこととなっていた。