中村幸嗣(元自衛隊医官)

 昨日ほとんど落ち着いたと判断し、救助隊への鼓舞をブログ(熊本大震災 訓練の成果を発揮して被害者を助けてください)に書きましたが、再度地震が続き震源地が移動しながら九州各地の被害が拡大しています。本当自然は予想がつきません。そんなことやめた人間に言われるような救助隊の精鋭達ではないでしょうが、皆さんまずは自分の安全を第1に行動してください。

 安倍首相が予定を変更し現地視察を取りやめました。賢明な判断です。みなさん思い出しましょう。5年前専門家に任さずまだ落ち着いていない時期に現場に入った首相のことを。今大事なことは現場に任し権限を与えること。それ以外ギリギリで行動している人間達をさらに危険にさせるだけで愚かな行為です。
非常災害対策本部の会合で発言する安倍首相(右から2人目)。左隣は河野防災相=4月15日午後、首相官邸
非常災害対策本部の会合で発言する安倍首相(右から2人目)。左隣は河野防災相=4月15日午後、首相官邸
 訓練は想定、つまり取り決めがあります。しかし今回のような事例にシナリオはないのです。つまりアドリブを活用しなければなりません。それをしない限りいい任務がこなせません。そしてそんな状況下にシナリオ強制の儀式を行ってはいけません。首相の行動を批判する方、危機管理は感情でおこなってはいけません。まして政権批判のためにおこなってはいけません。だから自分の身は安全なのに偉そうにツイッターで発言した例の党は批判されます。

 このような行動パターンがわからない人間は建前論ですぐ批判したがります。別の例ですがついこの間ある新聞社から突然電話をいただき、自分のブログ(“リスクを言うならまずここから見直せ  あまりにお粗末自衛隊の医療体制” 民間の厳しい意見に拍手!)について意見を要求されました。訓練があまりなされていない中、法律ができてしまうと派遣された隊員の安全が守れない、つまり危険ではないかという言葉を私に言わせたかったみたいです。

 新聞社名、名前をまず最初に名乗らない、要件も説明しない、自分の都合だけでこちらに電話でインタビューする(もちろん無料)といった点は置いといて、彼に言いたい。だったら今この現場から訓練不足だから救助隊を撤収します?と。揺れているから安全のために揺れが収まるまで全く活動するなと言います?

 もちろん撤退の判断、中止の判断は必要な時があります。でもそれは安全なところから批判する人が決めるのではなく、現場とともに判断すべきもので、それはギリギリなことをいかに安全に行うかというプロの仕事です。そしてそれは実践を積まない限り進歩しません。医療と同じことです。現場ではなく安全な場所から情報不足にもかかわらず危険だという不安の感情だけで決めるものではありません。

 最後に被災地の皆さん、救助への協力をお願いしますがまずは自分の身の安全を第一に救助隊等の指示に従ってください。そして被災地以外の皆さん、凄惨な画像を見ないようにすることも精神的に大事です。不調を感じたらリラックスしましょう。 まだまだ有事は続きます。皆さん耐えましょう。そして応援、協力しましょう。