四連動地震が起こす「西日本大震災」


 東日本大震災の発生後、日本列島で今後起きる地震の被害予測が大幅に変わりました。

 たとえば、東海地震・東南海地震・南海地震が次に起きるときには、3つが一緒に起きる「三連動地震」となる、と私たち専門家は予測しています。こうした同時発生は、いまから300年ほど前の江戸時代にも起きたのです。1707(宝永4)年に起きた宝永地震(M 8.6)では、巨大津波が太平洋の沿岸を襲い、二万人を超える犠牲者を出しました。
 古文書に残された地震の記録からは、連動型の巨大地震は、887年、1361年、1707年というように、300~400年間隔で起きたことがわかっています。そして、次回の三連動地震は2030年代に確実に起きる、と予測されているのです。

 三連動地震の震源域は、太平洋の南海トラフ沿いに600kmほどの長さがあり、東日本大震災の震源域と同じくらいの規模です。

 このように長大な震源域で岩盤が滑ると、強い揺れと大きな津波をもたらすことは必定(ひつじょう)です。すなわち、東日本大震災と同じか、それを超える激甚災害が、今度は西日本で起きると考えられるのです。

 最近の研究から、東海地震・東南海地震・南海地震に加えて、もう1つ西の震源域が連動する可能性があることがわかってきました。すなわち、南海地震の震源域の西に位置する日向灘も連動し、四連動地震が「西日本大震災」を引き起こすおそれがあるのです。

 今回ご紹介したように、研究の進展によって、マグニチュードも地震発生確率も大きく変わる可能性があります。地球の現象には、前提条件の変化により大きく結果が変わる「構造」があることも、ぜひここで知っていただきたいと思います。

 去年の東日本大震災から、日本列島では「大地動乱の時代」が始まってしまいました。できるだけ最新の情報を入手し、正しく理解することで、「巨大災害の時代」を乗りきっていただきたいと願っています。

かまた・ひろき 京都大学教授。1955年生まれ。東京大学理学部卒業。通産省を経て97年より京都大学教授。専門は地球科学。テレビや講演会で科学を解説する「科学の伝道師」。京大の講義は毎年数百人を集める人気。著書に『地震と火山の日本を生きのびる和恵』(メディアファクトリー)、『火山と地震の国に暮らす』(岩波書店)、『火山噴火』(岩波新書)『もし富士山が噴火したら』『座右の古典』『一生モノの勉強法』(以上、東洋経済新報社)など。