河合雅司・産経新聞論説委員
 少子化が進む日本にとって、さらなる深刻なニュースが飛び込んできた。国立社会保障・人口問題研究所が発表した「出生動向基本調査」によると、夫婦が生涯にもうける子供の平均人数(完結出生児数)が、平成22年に1・96人となり、初めて2人を下回ったというのだ。

 これまで日本は「晩婚化が進んだとしても、結婚すれば子供が生まれる国」とされてきた。多くの専門家が、少子化対策の優先課題に結婚支援を挙げているのも、夫婦の子供数が2人を超えていることが根拠だ。調査結果は、こうした見方を覆しかねない。

 完結出生児数は長年2・20人前後で推移してきた。前回調査(17年)で2・09人に下落し、今回2人を割り込んだのは、一時的現象ではないだろう。

 もう一つ、うれしくないニュースがある。「彼女がいない」という18~34歳の未婚男性が61・4%に及んだのだ。「彼氏がいない」女性も49・5%である。いずれも過去最高だ。しかも、その半数近くが「交際を望んでいない」と冷めている。夫婦の子供数だけでなく、結婚以前の男女の出会いにまで、大きな変化が表れ始めている。

 こうした国民意識の変化を軽く見ると、後で取り返しのつかないことになる。背景には、若年雇用の不安定さや、出産や結婚に対する価値観が変わったことなど、さまざまな理由があると思われるが、「結婚したい」「子供が欲しい」と考えている人も少なくない。

 政府は「結婚しても出産できない」「結婚したいけどできない」といった人に新たな事情が広がっていないか、早急に分析し対策を講じるべきだ。

 しかし、民主党政権に多くを望めない。戦前の「産めよ殖やせよ」の出生奨励策へのアレルギーから、政府が出産や結婚に口出しすることに拒否感が強いためだ。子ども手当にみられるように、生まれてきた子供をいかに支援するかという政策が中心なのである。

 一方で、こうした暗いニュースを吹き飛ばしそうなブームが民間から巻き起こっている。「街(まち)コン」だ。いまや全国各地で展開されている。

 一つの街を舞台に、数百人規模の若い男女が飲み歩く超大型の合同コンパである。主催団体に1人何千円かを払って登録すると、指定されたお店を自由に行き来して、時間制限で飲食できる仕組みだ。

 「街コン」の良いところは、単なる男女の出会いの場にとどまらないことだ。主催する飲食店側は若者への知名度が上がり、新規顧客を開拓できることになる。商店街に活気が出て、地域全体の活性化につながることも期待できる。

 東日本大震災を経て、助け合うことの大切さが見直され、誰かとつながっていたいという気持ちも強まった。結婚意識が高まっているとの指摘もある。こうした機運を大きな流れにしていきたい。

 「街コン」は、現在の日本が抱えるいくつもの難題を、一挙に解決する切り札になるかもしれない。