長谷川豊(フリーアナウンサー)

 堀江貴文氏や本田圭佑氏が「過剰な自主規制」に対して苦言を呈していました。

 堀江氏の件に関していえば、堀江氏が出演予定だった「ネットTV」のマージャン番組が取りやめになってしまったそうです。

 これはさすがに堀江氏の意見が正しく、地上波テレビでもなんでもない「ネットテレビ局」が、今回の地震発生に際して放送をやめることはさすがに適切とは言いにくい部分があります。堀江氏のようにスケジュールを押さえられていた人間もいたでしょうし、その当人が苦言を呈したくなるのは当然のことだと思います。

 逆に、地上波のテレビ局はその多大な影響力を行使できる観点からいくつもの制約があり、それらは「放送法」にまとめられています。

「放送を公共の福祉に適合するように規律すること」
「放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること」

などはその「放送法」の大前提の部分に記されていて…難しく書いてありますが、要は「日本の、国民のために役立ちなさい」ってことだと思っておいてください。当たり前ですね。

 なので、地上波放送が今回のような大災害が発生したときに、かなりの放送時間を割いて災害報道一色になることは当然の責務です。「九州の話ばっかりやってないで、他の放送もしてくれよ~」って意見もとてもよく分かりますが、そこは一応、地上波放送の役目だったりするんです。
 さて、では問題となっているのが「過剰な自主規制」に対して、です。私は、これは2種類に分かれると思います。

 一点目に「適切な自主規制」。もう一点は「ノイジーマイノリティがうるさそうだし面倒だから、いったん全部辞めちゃえ」的自主規制。

 堀江氏や本田氏が指摘しているのは後者の方ですね。実を言うと、今現在行われているほとんどのCMや番組の自主規制は後者となります。なので、批判されることは当然な気もします。

 「適切な自主規制」に関していうと、東日本大震災が起きた直後に、あるテレビ局が大きな津波が襲い掛かってくるシーンが含まれるアメリカ映画を流す予定となっていたのですが、これを取りやめたことがありました。

 東日本大震災では、多くの方々が被災し、また津波によって多数の尊い命が失われました。ご遺族の心情、察するに余りあります。その傷も全く癒えていないタイミングで、ふとした瞬間にテレビをつけて、津波が襲い掛かってくるシーンが流れたら、ご遺族はどんな気持ちになるでしょうか?