山村明義(作家・ジャーナリスト)


政治利用しているのはどっちなのか


 今回の熊本地震をきっかけに、政府や各政党の言動に対して、一部の政党やマスコミなどが「政治利用」や「政治的パフォーマンス」という政権批判を行っていることが、永田町だけでなく、ネット上でも話題になっている。それは、熊本の震災を「本当に政治利用しているのは与野党のどっちなのか」という問題である。

 例えば、最初の熊本地震直後の民進党は、公式ツイッターで、「東日本大震災の自民党のような対応を望みます」という投稿に対して、「それじゃあダメでしょうね」、「一部の自民党の有力議員が原発対応についてデマを流して政権の足を引っ張ったのも有名な話」などと強気に答えたところ、多くの読者からの批判を浴びて炎上。一転して削除、謝罪するに追い込まれた。

避難所となっている益城町総合体育館。炊き出しを行う自衛隊員のヘルメットには手書きの「頑張るばい!!熊本!!」のメッセージ=4月22日午前、熊本県益城町 (川口良介撮影)
避難所となっている益城町総合体育館。炊き出しを行う
自衛隊員のヘルメットには手書きの「頑張るばい!!熊
本!!」のメッセージ
=4月22日午前、熊本県益城町 (川口良介撮影)
 選挙の近いこの時期、震災対応に関して、安倍政権や自民党を批判し、「政治利用したい」という気持ちはわからなくもない。しかし、客観的に安倍政権は東日本大震災の教訓を生かして現地視察を中止し、早い段階で自衛隊派遣の規模を2千人から2万人への増派増員などを決めたり、90万食以上の支援物資は届けていて、現地では私の聞く限り、「安倍政権時で良かった」という声も上がっていたほどだ。

 災害の時ほど、組織や人の「本性」が現れるという。災害の時期に不安と混乱を掻き立てる情報を流す。あるいは相手を貶め、自らを宣伝して逆に何か得をしたいと考える組織や人は、落ち着いて見ればわかるのである。

 民進党の例は、彼らが政権を獲りたいがために安易にツイッターを「政治利用」したところ、自らの身にブーメランとなって返って来たという典型例だろう。実際に、この大変な災害時に、「政治利用」という言葉そのものを「与党への攻撃材料として確信犯的に利用している」としか思えない政党もある。

 その一つは日本共産党である。志位和夫委員長は、現場では安全確認が出来ているにもかかわらず、「川内原発は止めるべき」と、同党が主張する「原発停止」という発言を行い大きな物議を醸した。安倍総理が災害支援を増強することは「政治利用」だが、彼らの党の主張である「反原発」をここぞとばかりに主張することは、「政治利用」ではないらしい。事実、熊本県の電気の停電状態は、県民に大きな不安と困難をもたらしたはずなのに、それを増長しようという言動である。

 さらに、同党では小池晃新書記局長が、岩国基地から被災地へ派遣された米海兵隊のMV22オスプレイに対して、「国民の恐怖感をなくすために慣れてもらおうということで、こういう機会を利用しているとすれば、けしからんことだ」と記者会見で語った「政権批判」のニュースが流れたとたん、ネット上では逆に多くの批判が相次いだ。

 他にも、震災中の熊本駅前で、日本共産党員が「アベ政治を許さない!」というプラカードを下げ、署名運動を行う光景が見られ、「この時期に何をやっているんだ」と、被災者たちの強い怒りを買っていたという。