境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)


保育園問題を実感しにくい中高年にこそ読んでほしい

 保育園の問題がこのところ巻き起こっている。2月の「保育園落ちた日本死ね」の匿名ブログがきっかけとなり、3月には国会での議論に広がった一方で、4月には市川市で保育園開設が反対運動で中止に至った。

 私は、保育園は首都圏で圧倒的に不足しているので、開設計画は無条件で賛成すべきだ、という立場だ。いくらなんでも「日本死ね」はないだろう、と言う人には、そう言いたくなるくらい保育園は足りないのだと言いたい。

 ちなみに私は50代で子どもたちは大学生と高校生。とうに保育時代は終えており、そもそも妻は専業主婦で保育園ではなく幼稚園に通わせた。そんな私がなぜ一方的に子育て世代の肩を持つようなことを主張するのか。そのことの説明を通じて、保育園問題に共感できない人に少しでも状況を理解してもらえないものか。この原稿はそんな思いで書いている。

 私は主にメディアがこれからどうなるかを中心にブログなどで情報発信してきた。そんな中で時折世の中の気になったことも書いており、2014年1月にたまたま保育と社会について「赤ちゃんにきびしい国で、赤ちゃんが増えるはずがない」というブログを書いた。ハフィントンポストに転載されたら、18万という驚くべき数の「いいね!」がついた。
・「赤ちゃんにきびしい国で、赤ちゃんが増えるはずがない」(ハフィントンポスト)


 私は決して今でいう“イクメン”ではなかったが、妻との子育てを通して、これは母親一人でできるものではないし、そもそも核家族は子育てに向いていない形態だと認識していた。そのことを書いたら、ものすごい数の「いいね!」がついたのだ。ということは、それだけいまの母親たちが孤独な子育てを強いられているのだと知った。

 その後、様々な独自の保育活動をする女性たちを取材してさらに書き進めていった。その内容は、先のブログのタイトルを書名にした本にまとめて一度出版している。
・赤ちゃんにきびしい国で、赤ちゃんが増えるはずがない。(三輪舎)

 そして去年は保育園への反対運動について取材していった。その過程で、実際に保活をした親たちの体験談もインタビューした。そうした情報収集で、私はかなり状況がよくわかった。年配の男性にはわかりにくいと思う。私もあまり理解できてなかった。いまの親たちの置かれている状況は我々の頃とまったくちがう。そこを知らないと、保育園問題がどうにもわからないと思う。