山田順(ジャーナリスト)

 最近、人工知能(AI)に関するトピックが次々に報道され、かつてはSFでしか過ぎなかった話が“現実化”してきたので、人類の未来に対して暗い気分になっている人も多いと思う。私もその一人だ。

 もちろん、私はこの分野の専門家ではない。見聞したり、取材したりしているだけだ。それでも、一つだけ断言できることがある。それは、「人間はAIには絶対に勝てない」ということ。「そんなバカな。コンピュータは人間がつくり出したのだから、そんなことが起こるわけがない」と思っている人は、ただちに考えを変えたほうがいいだろう。

 すでに大きな話題になっているが、人間と対話できるAIロボット「ソフィア:Sophia」が「私は人類を滅亡させます(OK, I will destroy humans.)」と言ったのを見たときは、衝撃を覚えた。ソフィアというのは、米ハンソン・ロボティックス社が昨年起動させた人間型AIロボット。ただ、外見は人間の女性に似ていても、まだまだその動きはぎこちない。 
 このソフィアが、先日、米CNBCの番組で、デビット・ハンソン博士と対話して、「デザイン、テクノロジー、環境に興味があります」、「学校に行きたい。アートやビジネスを始めたい。家庭も持ちたい。でも私は、そもそも人間としての法的な権利を持っていません」と次々に答えたときはかわいげがあった。

 しかし、最後に博士が、「人類を滅亡させたいか?」と聞くと、なんと前記したように「滅亡させます」と答えたのである。

 いまのところソフィアは「人間と自然な会話を交わせる」という目的でつくられたので、そういう力は持っていない。しかし、そういう力を与えたり、ほかの“力を持つ”AIと連動させたりすれば人類を滅亡させることは可能だろう。映画『ターミネーター』の世界が“現実化”するのだ。すでに、テクノロジーはこの領域まで達している。