田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

 最近、経済評論家の上念司氏とラジオ番組「ザ・ボイス そこまで言うか!」(ニッポン放送、5月4日放送 https://www.youtube.com/watch?v=LX4kceGVo0I)で共演して、現在の日本や世界経済の動向について意見を交わした。

 私たちの共通する視点は、いわゆる「リフレ派」として表現されている。「リフレ」というのは、リフレーションの略であり、「日本経済の長期停滞は、持続的な物価下落とその予想が持続することが原因である。物価とその予想をコントロールできるのは金融政策なので、その政策転換が長期停滞脱出のキー」と考える立場である。ここでいう「金融政策の転換」は具体的には、物価下落(デフレ)から物価上昇(インフレ)への転換を目指すことである。これだけのことで日本経済が長期停滞を脱して再生することができるのか? とこの20年以上、多くの議論を招いてきた。

 しかし第二次安倍晋三政権が発足し、その経済政策(アベノミクス)の中核に、この金融政策の転換が置かれ、それによって経済は急速に改善し、株価の上昇・円安の加速、企業収益や雇用の大幅改善がみられた。また日本の大問題と(私はそれは誤った認識だと思うが)散々いわれてきた「財政赤字問題」も大幅に改善し、事実上“終焉”した。

 このようなリフレ派の考えはシンプルであるが、同時に強力なものである。だが、今日、財務省的な緊縮政策(具体的には消費増税)のために安倍政権と日本銀行のリフレ政策が不安定化し、日本経済に再び長期停滞に陥る危険が迫っていることは、本連載で毎回のように書いていることである。

 ところで上念司氏の近著『経済で読み解く明治維新』(KKベストセラーズ)は、この金融政策の転換(デフレからインフレへ)が、江戸幕府の崩壊と明治維新の成功を解き明かす最大のキーであることを示した優れた評論である。先のラジオ番組の合間にも、上念氏のこの近著を話題にして大いに盛り上がった。