ろくでなし子

 そもそも女性器アートを始めたのは、こんなもの作るなって批判してくるおじさんたちへの反発心からです。「女性器を面白くするな」って言われたから「もっと面白くしてやれ」と思って、女性器をリモコンで走らせたり、照明器具だったり、水が飛び出す女性器の作品を作った。評論家にも「こんなもん」ってけなされるし、常に敵がいるというか、批判され続けてきて、「それじゃあもっと!」と対抗してきたんですけど、ついに出てきたラスボスが「国」だった。

インタビューに答えるろくでなし子(撮影:川畑希望)
インタビューに答えるろくでなし子(撮影:川畑希望)
 突然何人もの刑事たちに囲まれ、逮捕されたときも、最初は驚いてポカーンとしてしまいましたが、これもいつものこと。批判する人たちは大体こういう頭の固い人たちだからって、突っぱねることができた。

 留置所から外に出たら、今までは私のことを目の敵にする人たちばかりだったのに、味方になってくれる人も出てきました。「あなたのやっていることをみていると元気付けられる」って言われたり、私の作品をみて大笑いしている人の楽しそうな顔をみていると、私も元気づけられた。一人じゃないんだっていうのを感じて心強かったし、自分の意思を曲げずにやり続けるべきだっていう思いがどんどん強くなりました。

 普通の会社員だったらとても悲惨だったでしょう。今回の件でアルバイトは首になってしまったけれど、失うものがほとんどなかっただけに、得たものの方が大きいです。

 世界のメディアに逮捕や裁判のニュースが発信されて、日本に来ている海外の人が「君のこと知ってるよ」って声をかけてくれることもあるし、活動を広めることができた。逮捕前はインターネット上で「ちょっと変な人がいる」と一部の人たちの間で知られていた程度でしたから。それが、単行本も出せたし、英語版も発売されることになって、今月11日からトロントとニューヨークにプロモーションに行きます。そういったことも逮捕がなければなかったことです。1円もかけずに私の活動が世に広まったのは逮捕のおかげなので、むしろ警察に感謝しています。