園田寿(甲南大学法科大学院教授、弁護士)

 本日、刑法175条(わいせつ物頒布等)に違反したとして起訴されていた、ろくでなし子被告に、東京地裁は一部無罪の判決を言い渡しました。

 彼女が起訴されていた事実は3つありました。
1.女性向けのアダルトショップ(原則、男性は入店禁止)で女性器をかたどった石膏の作品(「デコまん」)を展示した。
2.自らの性器を3Dスキャンし、そのデータをダウンロードできるURLをメールで送信した。
3.上の3Dデータを記録したCD-Rを郵送した。

 これらの起訴事実に対して、裁判所は、石膏作品は刑法175条の〈わいせつ物〉に当たらないが、3Dデータは同条の〈わいせつ電磁的記録〉および〈わいせつ電磁的記録媒体〉に該当するとしました(罰金40万円、求刑は80万円)。
画像はイメージです
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 判決は、石膏作品については着色や装飾が施されているため、「ただちに女性器を連想させない」と指摘し、さらに、「ポップアートの一種ととらえることは可能で、芸術性、思想性によって性的刺激が緩和されている」として、わいせつ物にはあたらないと判断しました。他方で、3Dデータについては、「女性器の形状を立体的、忠実に再現している」としてわいせつ物にあたると判断しました。

 弁護側の冒頭陳述によると、問題の石膏作品は、全体が白色で、かなりのデコレーションが施されていたようです。その点で、作品自体からただちに女性器を連想させるようなものにはなっていなかったと思われます。

 これに対して、3Dデータの方は、スキャンされたデータですから、女性器の外観、形状をおそらく忠実になぞったものだったのではないかと思われます。それを3Dプリンターで再生した場合に、忠実に女性器の形状が再現されるかどうかはプリンターの性能に依存するものであり、仮に性能の低いプリンタで再現した場合には粗雑な形状でしか再現されないとしても、その点は本質的な問題ではないと思います。DVDでも、テレビや再生機によって画質が影響を受けるのと同じです。

 したがって、この点に関する裁判所の認定は、事実認定の差であって、とくに疑問を呈すべきものはないように思います。