プレディクティブ・コーディングが勝負の鍵を握る


 Nuixを目の当たりにして改めて凄いソフトであることを実感したが、さらなる進化を遂げるための研究が進んでいるという。「それがプレディクティブ・コーディングですね。すなわち人間とコンピュータが協力してデータ分析をする技術です。まず、教師データと呼ばれるものを作成します。調査データの10〜20%をエキスパートによってピックアップして調査対象として重要なものかどうかを判断させます。これをAI(人工知能)にパターン認識させて残りのデータを自動的に抽出させるんです。プレディクティブ・コーディングを使えば、人間の負担を軽減させ、コンピュータの計算量を減らし、抽出精度を高めることができます」と佐々木氏は語る。特許訴訟のESI作成を法律事務所に依頼すると120万ドルかかると言われたが、これがプレディクティブ・コーディングを使うことで36万ドルに抑えられたという話もある。

 プレディクティブ・コーディングの次の段階がAIによる完全自動分析である。佐々木氏はこう締めくくる。「シンギュラリティ(技術的特異点)が訪れるのは2045年と言われていますが、私は2030年頃だと予測します。これはAIが人間を超えるという意味で使われますが、AIが自分自身でシステムを改良し続けることができるようになるという意味です。つまり無限に進化するAIですね」。それは人間の職業がAIに奪われるという事になるのだろうか。「行政の仕事は大幅に人手が減らせますね。しかし、公務員は解雇できませんから、事務職で不要になった人員を人を相手にするようなサービスに回せば、行政サービス全体は充実すると思います。そう考えれば、人は人にしかできない仕事に就ける時代が訪れるのではないでしょうか」

オフショア・リークスで名前、会社、住所まで分かる



 こうして分析されたパナマ文書の一部と言われているデータがICIJのオフショア・リークスというサイトでも見ることができる。このサイトは誰でも検索できるようになっている。実際に試してみよう。最初の検索窓でJpapnを選択すると国籍日本に関するデータが表示される。検索結果は3つのリストに分類され、左から社名、これをクリックすると関係者または仲介した人物の名前、会社、オフショアのダイアグラムが表示される。中央はタックスヘブンに住所を移転した事業所の名称が表示される。右は個人でタックスヘブンを利用しているクライアントの住所、クリックでダイヤグラム表示される。
 公開されたデータは、まだほんの一部であり、グラフも限られた項目だけしか表示されていないようだ。5月上旬には全ての個人及び企業リストが公開される予定なので、無関係を決め込んでいる日本政府も何らかのリアクションを起こすに違いない。