福田ますみ(ノンフィクション作家)

 筆者が、2007年1月に出版した『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』、そして、今年2月に出版した『モンスターマザー 長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い』はともに、学校現場が舞台であり、どちらにもいわゆるモンスターペアレントが登場する。

 しかし、このモンスターペアレントたるや、学校に無理無体な要求をして教師を悩ませる「困った親」といったレベルをはるかに超えている。常識では考えられない虚言を弄し、学校への敵意をむき出しにして、教師を破滅寸前まで追い込んだのである。

 彼らの決まり文句は、「我が子がいじめを受けた」の一言だ。前者は、担任の教師自らが9歳の男児をいじめ、すさまじい体罰を振るったというもの。後者は、高校のバレー部の先輩が16歳の男子生徒にいじめや暴行を行ったが、学校がいじめを認めないというものだ。その後、男子生徒は自殺する。「いじめ」という言葉に社会は過剰に反応する。それはもちろん、いじめの卑劣さへの憤りゆえに違いないが、ひとたび事件が起これば、加害者や教師の実名、顔写真がネットに晒され、そこに「弱者の味方」のマスコミが加勢して学校を糾弾する。この2つの事件もマスコミに取り上げられ、教師たちは筆舌に尽くし難い目に遭った。しかし、である。詳しいことは拙著をお読みいただきたいが、結論から言うと、すべては母親の悪質なでっちあげだったのである。
TBS系「3年B組金八先生」第7シリーズ製作発表、主演の武田鉄矢(中央)=東京・目黒雅叙園(写真と本文は関係ありません)
 世間やマスコミが糾弾した加害者は実は被害者であり、大いに同情を誘った被害者は、学校関係者に対する加害者だったのである。さらに後者の場合、男子生徒の自殺の原因は、恐ろしいことに、母親自身の言動にあった疑いが濃厚である。

 ただ、こうした似たようなルポを相次いで発表したために、筆者は、どんな場合でも教師を擁護するスタンスであるかのように思われるかもしれない。しかしそれは正しくない。そもそも教育問題にそれほど関心がなかった私がひょんなことから出会ったのがこの2つの事件であり、学校や教師を擁護するために、意図して類似の事件を掘り起こしたわけではない。