「家政婦のミタ」に通ずるもの


 学園ドラマの主人公の設定としては異色であり、奇抜でかつ現実離れしている。しかしながら、そのテーマは現代的である。さらに、敵役の設定もまた、時代を象徴するような人物である。

 それは、大ヒットした日本テレビの「家政婦のミタ」のシナリオと同じようなものを感じる。かつてストーカーのように付きまとわれた義理の弟によって、夫と子どもを殺されたミタ。笑顔を浮かべることを自ら禁じて、雇い主の命令に対して「承知しました」とこたえる。視聴率はすべりだしこそ10%台だったが、回を重ねるごとに話題を呼んで、最終回は40%という驚異的な数字をたたきだした。

 「家政婦のミタ」のヒットの大きな要因は、現代を象徴するテーマ性にあったと考える。ミタが通う一家の主人の不倫とその結果、妻が自殺する。高校生の娘の上級生との肉体関係、4人の姉弟の兄弟愛、亡くなった妻の妹と主人公の淡い恋愛感情……

 ミタ(松嶋菜々子)の人生を縦糸にして、ひとつの家庭のドラマが横糸になって、現代の家族問題を織り成している。

 榮倉奈々の「黒の女教師」にも、そんな予感がする。なぜ、夕子はそして、すみれと彩は「課外授業」をするようになったのか。第2話のラストシーンで、夕子がある邸宅を訪れて、チャイムを鳴らすが、入ることを断られたのはなぜか。第1話で、転校したばかりの男子生徒が夕子のポケットに札束を突っ込んで、課外授業を依頼するが、それはなんなのか。その瞬間に男子生徒が夕子に口づけする理由とは。

学園ドラマは世に連れ


 学園ドラマといえば、やはりTBSが1979(昭和54)年から2011(平成23)年にかけて、30年以上にわたって放映した「3年B組金八先生」がある。舞台の設定は、桜中学というどこにでもありそうな中学校であった。テーマの現代性が、長きにわたって視聴者をとらえたのであろう。筆者の少年時代のドラマでは、日本テレビの「青春とはなんだ」があった。原作は石原慎太郎、脚本に倉本聰の名前がみえる。いま思えば贅沢な布陣である。

 学園ドラマは世に連れ、であろう。「黒の女教師」の奇抜な設定もわるくはない。あるいは、現実の学園で起きている最近の事件の数々を思うとき、設定が現実離れしているほうが、テーマが視聴者に届きやすいのではないだろうか。 (敬称略)