児玉克哉(社会貢献推進機構理事長)

 舛添要一東京都知事は現在、様々な案件で厳しい立場に置かれています。ファーストクラスの使用やスイートルームの宿泊などでの高額な海外出張費、湯河原町の別荘への公用車による週末通い、会議費として家族旅行の疑惑など、次々と問題が噴出しています。

 5月12日にはBSフジプライムニュースでインタビューを受け、13日には合同記者会見を行いました。プライムニュースでのインタビューでは「精査する」「調査する」の多発で、相当に批判を受けています。13日の記者会見での発表や質問に対する答えもかなり問題がありそうです。これで収まるというよりも、むしろ問題化する可能性もあります。ただ、舛添氏が問題としている部分については政治資金収支報告書を修正して、返金するということですから、法的にさらに問題が深まることはないかもしれません。微妙な状態です。

 合同会見の時に出たポイントをまとめてみましょう。

 1.家族が泊まっている部屋での「会議」で会議費として計上
 千葉県木更津市のホテルの宿泊代を会議費としていた計上していたのですが、やはりその部屋は家族も一緒に泊まっている部屋です。たとえ1~2時間会議をしてもその費用すべてが政治活動費だというのは明らかに無理があります。高額な部屋代ですからおそらく食事もついていたのでしょう。家族が宿泊し、食事をしたのですから、たとえその部屋を部分的に会議に使用したとしても「会議費」とするのは厳しいです。舛添知事は重要な会議をしたのだから政治活動費とするのは当然と思うが、誤解を招くのですべて返金すると主張しています。しかし前提の認識はあまりに無理があります。「差し迫っているのでその時しか時間がなかった」と繰り返し主張されますが、そこは問題ありません。問題なのは家族の宿泊の費用を会議費として計上したことです。感覚がズレていることをはっきりさせたことになります。

舛添要一都知事は会見で「週末に場所と雰囲気を変えることで、すばらしい発想が生まれることがある」などと語った=2016年4月28日午後、東京都新宿区の東京都庁(荻窪佳撮影)
舛添要一都知事は会見で「週末に場所と雰囲気を変えることで、すばらしい発想が生まれることがある」などと語った=2016年4月28日午後、東京都新宿区の東京都庁(荻窪佳撮影)
 2.何人の会議か、誰との会議か、全く情報がない
 「精査」という割には、結局はスタッフの記憶を辿ったというだけです。木更津市のホテルの部屋での会議は何人で行ったのかさえ明らかにされません。なんの証拠もない状態です。レストランなどでも全く情報がありません。これでは「精査」もなにも関係ないもの。なんの証拠もないものをただ単に信じろ、という主張になります。せめて領収書かレシートのコピーは提出する必要があります。また会議をしたという証拠になるような秘書の日程表とか、参加者の日程表とかも必要でしょう。何一つ証明するものがないままに、「精査」によりこの結果になったと主張されても説得力はありません。舛添知事と事務所を信じるしかないのです。

 3.家族との食事にも秘書がついているのか?
 舛添知事の説明で分かりにくかったのが、二つの箱のたとえです。秘書に20~30万円を渡していて、そこから支払っていたので、公私混同のミスが起きた、ということでした。この20~30万円は個人のお金なのか、政治資金からのお金なのか?お金の流れはどのようになっていたのかがよく分りません。家族だけでの食事の時も秘書はスタンバイしていて支払いをするのでしょうか。極めてわかりづらい仕組み、そして説明です。

 4.回転寿司店で政治活動の打ち合わせ?
 回転寿司店での政治的会議は極めて想像しにくいものです。回る寿司をとりつつ話すのはあまり一般的とは思えません。回転寿司店では隣りにも人がいます。あれだけ高級ホテルのスイートルームでなければミーティングができないというくらいプライバシーを気にする人です。回転寿司店で政治活動というのも信じがたいところです。

 今回の記者会見で説明はしたものの、中途半端な説明、謝罪にとどまったので、舛添知事バッシングが収まることはないでしょう。おそらくこ舛添知事への反発はさらに強まることになるでしょう。しかし、知事の進退に関わるほどの決定的なものとはいえません。問題は、週刊文春などのマスコミが次の疑惑を報じるかどうか、になるでしょう。

 リオオリンピックではルセフ大統領が不在で、暫定大統領のもとでの開催になりそうです。リオオリンピックを引き継ぐ東京都の知事が代理となる可能性さえあります。折しも、東京オリンピック招致において、不正送金疑惑も湧き上がりました。注視が必要です。

(2016年5月13日 Yahoo!ニュース個人「児玉克哉の希望ストラテジー」より転載)